サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路。
モロッコからスペインに入ってからこの言葉をしばしば耳にし、目にしていた。
スペイン北西部太平洋にほど近いサンティアゴ・デ・コンポステーラには
イエス・キリストの弟子の12使徒の1人、聖ヤコブの遺骸が祀られていて、
ここを参拝することはキリスト教徒の責務の一つであるとか。
そんなこともあって、
サンティアゴはエルサレム、バチカンに並ぶキリスト教三代聖地になるのだそう。
言ってみればお伊勢参りみたいなもんだろうか。
似ているといえばお遍路にも似ている。
このサンティアゴへ向かう道のうちスペイン国内分に関しては、巡礼路の整備が進んでいて
巡礼路各所にはアルベルゲと言われる巡礼路が格安で提供され、
また巡礼者向けの食事を提供しているレストランもあるのだそう。
そういった巡礼者向けの施設で歓待ともいえるサービスを受けるには
クレデンシャルという巡礼手帳が必須で、これに各所でスタンプを押して貰うことが巡礼の証明になる。
果たしてサンティアゴ・デ・コンポステーラで結願を迎えた暁にはクレデンシャルと引き換えに
巡礼証明書がもらえるそうだ。
信仰心のない僕にとって巡礼自体は特に興味を引くものでもないのだけれど、
「格安で泊まれる巡礼宿」これは随分と魅力的な響き。
それにちょうど今いるあたりは銀の道と言われていて数ある巡礼路のうちの一つ。
走っている時もバックパックと金剛杖を持った巡礼者をたまに見かけていたし、
巡礼路のシンボルマークの帆立貝も目にしていた。
この銀の道はそのままレオンまで貫いているし、一時帰国後の再出発後もレオンから
巡礼路で一番ポピュラーなフランス人の道に合流するのだ。
つまり巡礼路を辿っていけばフランスまでは宿の心配は無用になる。
そんな現金な気持ちが優先でサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路上にいるのだ。
実は銀の道自体はもっと南のセビージャが起点になっていて、
これまでも巡礼宿は見かけていたのだけれど泊まるために必要なクレデンシャルが
なかなか手に入らなかった。
起点のセビージャで手に入れておけば問題なかったのだけれど、
あの時は帰国のためのチケットの手配でそんな時間はなく、その後の途中の街々では曜日合わせが悪く週末だったり、小さな街では発行していないようでずっと入手できずにいた。
そんなクレデンシャルをここサラマンカでようやく手に入れた。
そうはいってもこの街でも、まずカテドラル行ったら修道院へ行けと言われ、修道院に行ったらここじゃなくて併設の事務所に行けと少々手こずったのだけれど。
まぁともかくなんとかクレデンシャルGet。
これで巡礼者デビューだ。
信仰深く真面目に歩いている方々には申し訳ないが。
あ、ちなみに巡礼手段は自転車も認められています。
今日の目的地は60km先のサモラ。
サラマンカから先はゆっくりとした下り基調の平地だったので本当に一瞬で到着した。
サモラは街の規模の割に随分静かな街で、これまででも最上級のシエスタをやっている。
街がゴーストタウンじゃないか。
それが第一印象だったのだが、あとで知った話、どうやらこの日はサモラの属するサモラ県の祝日だった模様。
おかげで結局一日中街は死んだままだった。
セントロ近くの修道院に隣接した場所にアルベルゲはあった。
立地抜群。祝日が悔やまれる。
BUEN CAMINO。ブエンカミノ。
これが巡礼路上の合言葉になっていて、良い巡礼を!そんな意味でみんな声を掛け合っている。
アルベルゲに入ると、世話人の男がチェックイン手続きをしてくれ、ベッドを案内してくれた。
チェックインの時にパスポートを出そうとしたらクレデンシャルだけでいいよと言われた。
この道上の通行手形であるクレデンシャルのパワー恐るべし!
初めてのアルベルゲはいかがなものかと、内心少し不安だった。
巡礼者ってみんな汗臭くて汚いんじゃないか、格安宿だけあって設備がひどいんじゃないか…と。
どれどれ…。
キッチン。
リビング。
ベッドルーム。
めっちゃ綺麗じゃないっすか。
どれもこれも清掃が行き届いて清潔感満点。
洗濯物を干す物干し場もついていて、まさに完璧な旅人向けの宿。
聞けば、朝食もつくそうだ。
極めつけに現代の旅人に必須のネット付き。
それでいてお値段驚きの寄付制。
調べた所だいたいアルベルゲは5ユーロ~7ユーロ前後なので、
恐らく寄付額もこの程度で妥当なよう。
価格破壊もいいところ。
こりゃどうなってるんだ、連泊したいじゃないか。
といってもアルベルゲはあくまで巡礼のための宿なのでよほどの体調不良以外は連泊不可。
消灯も10時時には消灯だしチェックアウトも朝8時と時間の制限はかなり厳しい。
この時期の10時とかまだ空少し明るいし。
それを補って有り余るほどのコストパフォーマンス。
素晴らしい。
アルベルゲは巡礼を目的とした宿だから、目的が共通していて宿泊客と話す内容も
「どこからスタートした?」「何日目??」といった巡礼に関わる内容が多い。
そういった会話になる度、安宿目的で泊まっている僕は肝を冷やすような
肩身が狭くなるような思いだった。
とは言え、決してラクではない巡礼の道だからか、年齢層が高くて落ち着いた人たちが多い。
そんな巡礼者と会話をしているうちに、こうしたアルベルゲ文化も楽しいし、
サンティアゴ・デ・コンポステーラまで行ってみようかな、そんな気持ちになってきた。
太西洋のあるロカ岬で折り返して、日本を目指すつもりだったのに、
また大西洋方面に向かおうかななんて考えているこの場当たり感…。
そもそもロカ岬だって当初の予定からすると予定外なのだ。
これ以上ヨーロッパの滞在期間を無駄に費やすわけにはいかないのだ。
うん、いかないのだ。
…そうなのだけれど。
そうなのだけれど、
ただ、それ以上に面白そうだなと感じている自分がいるのだ。
…
…
あーーーーー、もーーーー!!!!!
単に綺麗に一本道で轍繋げてったってしょーがねーもんなー。
わかったわ。
行くわ、行けばいいんでしょ。
サンティアゴ・デ・コンポステーラ!!
行ったるわ、あー、もう!!
はい。
そんなわけで再び寄り道決定。
まぁ駆け足で走ってばっかりも何のためだかわからないしね。
とりあえず、明日はこの旅の前半戦の一区切りレオンだ。
奇しくもレオンは今いる銀の道と巡礼路のメインロードフランス人の道の交差するところ。
ここで旅の前半戦を区切って再出発はサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路にしよう。
気持ち的にはかなーーーーり面倒くさいことになったなと思ってるのだけど、
でも目標が一つ定まるとそこに向かってワクワクする自分も確かにいるのだ。
モロッコからスペインに入ってからこの言葉をしばしば耳にし、目にしていた。
スペイン北西部太平洋にほど近いサンティアゴ・デ・コンポステーラには
イエス・キリストの弟子の12使徒の1人、聖ヤコブの遺骸が祀られていて、
ここを参拝することはキリスト教徒の責務の一つであるとか。
そんなこともあって、
サンティアゴはエルサレム、バチカンに並ぶキリスト教三代聖地になるのだそう。
言ってみればお伊勢参りみたいなもんだろうか。
似ているといえばお遍路にも似ている。
このサンティアゴへ向かう道のうちスペイン国内分に関しては、巡礼路の整備が進んでいて
巡礼路各所にはアルベルゲと言われる巡礼路が格安で提供され、
また巡礼者向けの食事を提供しているレストランもあるのだそう。
そういった巡礼者向けの施設で歓待ともいえるサービスを受けるには
クレデンシャルという巡礼手帳が必須で、これに各所でスタンプを押して貰うことが巡礼の証明になる。
果たしてサンティアゴ・デ・コンポステーラで結願を迎えた暁にはクレデンシャルと引き換えに
巡礼証明書がもらえるそうだ。
信仰心のない僕にとって巡礼自体は特に興味を引くものでもないのだけれど、
「格安で泊まれる巡礼宿」これは随分と魅力的な響き。
それにちょうど今いるあたりは銀の道と言われていて数ある巡礼路のうちの一つ。
走っている時もバックパックと金剛杖を持った巡礼者をたまに見かけていたし、
巡礼路のシンボルマークの帆立貝も目にしていた。
この銀の道はそのままレオンまで貫いているし、一時帰国後の再出発後もレオンから
巡礼路で一番ポピュラーなフランス人の道に合流するのだ。
つまり巡礼路を辿っていけばフランスまでは宿の心配は無用になる。
そんな現金な気持ちが優先でサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路上にいるのだ。
実は銀の道自体はもっと南のセビージャが起点になっていて、
これまでも巡礼宿は見かけていたのだけれど泊まるために必要なクレデンシャルが
なかなか手に入らなかった。
起点のセビージャで手に入れておけば問題なかったのだけれど、
あの時は帰国のためのチケットの手配でそんな時間はなく、その後の途中の街々では曜日合わせが悪く週末だったり、小さな街では発行していないようでずっと入手できずにいた。
そんなクレデンシャルをここサラマンカでようやく手に入れた。
そうはいってもこの街でも、まずカテドラル行ったら修道院へ行けと言われ、修道院に行ったらここじゃなくて併設の事務所に行けと少々手こずったのだけれど。
まぁともかくなんとかクレデンシャルGet。
これで巡礼者デビューだ。
信仰深く真面目に歩いている方々には申し訳ないが。
あ、ちなみに巡礼手段は自転車も認められています。
今日の目的地は60km先のサモラ。
サラマンカから先はゆっくりとした下り基調の平地だったので本当に一瞬で到着した。
サモラは街の規模の割に随分静かな街で、これまででも最上級のシエスタをやっている。
街がゴーストタウンじゃないか。
それが第一印象だったのだが、あとで知った話、どうやらこの日はサモラの属するサモラ県の祝日だった模様。
おかげで結局一日中街は死んだままだった。
セントロ近くの修道院に隣接した場所にアルベルゲはあった。
立地抜群。祝日が悔やまれる。
BUEN CAMINO。ブエンカミノ。
これが巡礼路上の合言葉になっていて、良い巡礼を!そんな意味でみんな声を掛け合っている。
アルベルゲに入ると、世話人の男がチェックイン手続きをしてくれ、ベッドを案内してくれた。
チェックインの時にパスポートを出そうとしたらクレデンシャルだけでいいよと言われた。
この道上の通行手形であるクレデンシャルのパワー恐るべし!
初めてのアルベルゲはいかがなものかと、内心少し不安だった。
巡礼者ってみんな汗臭くて汚いんじゃないか、格安宿だけあって設備がひどいんじゃないか…と。
どれどれ…。
キッチン。
リビング。
ベッドルーム。
めっちゃ綺麗じゃないっすか。
どれもこれも清掃が行き届いて清潔感満点。
洗濯物を干す物干し場もついていて、まさに完璧な旅人向けの宿。
聞けば、朝食もつくそうだ。
極めつけに現代の旅人に必須のネット付き。
それでいてお値段驚きの寄付制。
調べた所だいたいアルベルゲは5ユーロ~7ユーロ前後なので、
恐らく寄付額もこの程度で妥当なよう。
価格破壊もいいところ。
こりゃどうなってるんだ、連泊したいじゃないか。
といってもアルベルゲはあくまで巡礼のための宿なのでよほどの体調不良以外は連泊不可。
消灯も10時時には消灯だしチェックアウトも朝8時と時間の制限はかなり厳しい。
この時期の10時とかまだ空少し明るいし。
それを補って有り余るほどのコストパフォーマンス。
素晴らしい。
アルベルゲは巡礼を目的とした宿だから、目的が共通していて宿泊客と話す内容も
「どこからスタートした?」「何日目??」といった巡礼に関わる内容が多い。
そういった会話になる度、安宿目的で泊まっている僕は肝を冷やすような
肩身が狭くなるような思いだった。
とは言え、決してラクではない巡礼の道だからか、年齢層が高くて落ち着いた人たちが多い。
そんな巡礼者と会話をしているうちに、こうしたアルベルゲ文化も楽しいし、
サンティアゴ・デ・コンポステーラまで行ってみようかな、そんな気持ちになってきた。
太西洋のあるロカ岬で折り返して、日本を目指すつもりだったのに、
また大西洋方面に向かおうかななんて考えているこの場当たり感…。
そもそもロカ岬だって当初の予定からすると予定外なのだ。
これ以上ヨーロッパの滞在期間を無駄に費やすわけにはいかないのだ。
うん、いかないのだ。
…そうなのだけれど。
そうなのだけれど、
ただ、それ以上に面白そうだなと感じている自分がいるのだ。
…
…
あーーーーー、もーーーー!!!!!
単に綺麗に一本道で轍繋げてったってしょーがねーもんなー。
わかったわ。
行くわ、行けばいいんでしょ。
サンティアゴ・デ・コンポステーラ!!
行ったるわ、あー、もう!!
はい。
そんなわけで再び寄り道決定。
まぁ駆け足で走ってばっかりも何のためだかわからないしね。
とりあえず、明日はこの旅の前半戦の一区切りレオンだ。
奇しくもレオンは今いる銀の道と巡礼路のメインロードフランス人の道の交差するところ。
ここで旅の前半戦を区切って再出発はサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路にしよう。
気持ち的にはかなーーーーり面倒くさいことになったなと思ってるのだけど、
でも目標が一つ定まるとそこに向かってワクワクする自分も確かにいるのだ。