2013年6月26日水曜日

アゴバラ~アズルーまで



緑の絨毯は丘陵地いっぱいに敷かれ、そこに生える草を食む羊の影。
赤・青・黄色の花々が爛漫に咲く街道は、ここがモロッコとは思えないほど。
のんびりとした時間がかすかな湿度と共にあたりに立ち込める。

翌日は雨が降った。
カナリア海流の冷気を含んだ春雨は、震えるほどに冷たく
僅か2時間走っただけで体の芯から冷えきってしまった。

ただ、こんな雨もアトラスの向こうじゃ見れなかったこと。
 シトシトと大地に落ちる雨粒は芽吹きの源。
雨が春を運んでくる。
春が雨を運んでくる。

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2013年6月25日火曜日

アトラスの向こう側

イミルシルの街を出発して数km先にある湖を越えるとアトラスの向こう側に出た。
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2週間前にマラケシュを出発して以来のアトラス山脈の北側は明らかに様相が南側と変わった。
背の低い灌木帯がところどころに目につくようになったのだ。
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これまでの南側は集落や渓谷の川沿いにしかこの緑の絨毯がなかった。
緑と表現するには、峠付近のこのあたりでは似つかわしくないのかもしれないけれど
明らかに“変わった”と思える瞬間だった。
峠向こうの下り坂を下りるにつれ、その緑のコントラストはぐいぐいと濃さを増す。
アルプス造山活動の一環として太古の昔に隆起したアトラス山脈。
所々で波状に褶曲した地層の断面が目に付くが、次第にそれも緑で覆われていく。
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大きなダウンヒルコースを終えて、濁濁とした色の川と並走するところまで下りる頃には、
だいぶ背の高い植物も目につくようになってきた。
トドラでも見かけたアーモンドが桜に似た花を咲かせ、より一層南との違いを鮮明に演出する。
あとで知ったのだけれど、アーモンドってバラ科のサクラ属に当たるんですね。納得。
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『春だねぇー』
後ろからやってきた、ようこさんが嬉しそうに言う。
『春ですなー』
僕とひろさんもしみじみ思う。

今朝までいた世界とは一体何だったのか。
まるで夢のようだけれど、ふと後ろを振り返るとわずかに雪を蓄えたアトラス山脈が君臨している。

本日はアゴバラという小さな街でストップ。
途中の分岐でさらにローカル道に入ってしまっていたので街の規模が心配だったけれど
モロッコの片田舎にしては十分な規模だった。
このあたりになると、建築物も土壁の住居は皆無でレンガ作りの家がほとんど。
待ちゆく女性も顔を出している人が多く、伝統衣装を纏う人も少ない。
ここはモロッコというより、どことなくエクアドルの田舎街を思いださせるようだった。
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少しだけホッとしたような、懐かしいような気持ちだった。
サハラ側に比べて、比較的馴染みのある文明に戻ってきたようで。
旅の根本って今まで知りえなかった世界を体感してみたいという好奇心から為るものだと
思うけれど、元いた世界に戻ってくることで落ち着いてしまうのも事実。

明日には幹線道路に復帰する予定。

2013年6月23日日曜日

3人寄れば何とやら

サハラ砂漠から戻った僕をトドラでようこ&ひろさんが待っていてくれていた。
ここから北に抜けるアトラス山脈越えは僕ら三人で越えることに。
前回のアトラス越えは腹痛でイマイチ楽しみきれない部分もあったから今回こそは。

出発してしばらく渓谷沿いをじっくりと登っていくコース。
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このルートはメイン幹線ではないので、道路の状態が心配だったけれどまぁまぁ綺麗。
むしろトドラまでの方がヨーロッパ人に超人気の観光コースのため、
バスやキャンピングカーの大型車が狭い一車線を幅を利かせて闊歩していたので
道が悪かった。
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アトラスの奥に入るに連れ、交通量はぐっと減り、格段に走りやすくなっていった。
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2人に比べて軽量装備の僕の方が登り坂が早いので、しばらく走って適当な所で2人を待った。
もしかすると2人にとっては、僕を待たせない様にと余計なプレッシャーをかけてしまったかもしれないが
僕にとっては2人を待っている間、
周辺の何気ない景色をじっくり堪能できるまたとない時間でよかったのだけれど。
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一口に自転車で走る、といってもそのスタイルは様々だ。
装備の量だって違うし、野宿中心の人もいる。
走ることに比重が置くか、観光に比重を置くのか、はたまた食事に重きを置くのかなどで
キャリーする荷物は全く異なってくる。
だから自転車でペアランする、ということは簡単なようでずっと難しい。
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今回に限っていえば、もう4年半に及ぶ膨大な時間を夫婦で走ってきた二人なので
僕は思い切り、気を使わずに走らせてもらうことが出来た。
それはきっと長い時間誰かと走る、ということに触れてきた二人だったから出来たこと。
これが、違う誰かとだったら、僕は僕で気が気でないと思うし、相手も相手で気が気じゃなかったと思う。
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一緒に走ってみて改めて思うのは、自転車乗りはそれぞれのフィルターを持っていて、
自分と違うところに気づきがあること。
こんなところで写真を撮るのか、とか後で道を振り返った時に、あそこが○○だったよねーと
自分では気づかなかった視点にハッとしたりする。
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それに自転車乗りとはマイノリティだ。
そんなマイノリティが、さらにモロッコのマイナーな山道を走っているのだから
話を共有できる相手を見つけろというのはかなり難しい話だろう。
例えば
『いやーナスカからのアンデスは3日間登りが続いてねー』
なんて、バックパッカーの人に話しても
「は、はぁ。大変だったんスね」で終わってしまうだろう。
でも、今はすぐ隣に、走り終えたあとすぐに気持ちを共有できる仲間がいる。
これがなんと有り難いことか。
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なにより楽しいのは、走り終えたあと。
地元の人すら素通りしてしまうような小さな集落の宿のサロンで
みんなの食料と料理道具を持ち寄れば
あっという間に素敵なディナーを囲むことが出来る。
アトラス越え初日のサロンで作ったトマトパスタは最高にうまかったなぁ。
これでビールでも買えればいうことなしなんだけど。
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アトラスの向こう側にはきっとビールも売ってますよね、頑張りましょう!

仲間がいるってほんとに格別だ。

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2013年6月21日金曜日

トドラ渓谷でのあれこれ

トドラ渓谷でのあれこれ。

僕がトドラに到着した翌日、別ルートで走ってきたようこさん、ひろさんも到着した。
このあたりはロッククライミングの名所。
せっかくなので、ということでお二人を誘ってクライミングに出かけた。
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一番上手だったのはようこさんで、ひょいひょいと綺麗なムーブを決めていった。
一方の僕はというと、へっぴり腰で怖い怖いを連発し、一本決めて降りてくる頃には膝が擦り傷だらけ。
脇から見て声を掛けるのと、実際の登るとなるとでこんなにも岩の表情が変わってくるとは。
それでも、かなり楽しめた。

ある日はティネリールにお出かけ。
ランチはバーベキュー。
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モロッコのバーベキューは独特のシステムで肉屋と焼き屋があり、たいてい1セットで軒を列ねている。
肉屋で好きな量の肉を購入し、それを焼き屋に持っていって焼いてもらう。
焼き屋も例によって定価が決まっていないので、交渉が必要だ。
気になるモロッコ牛のお味は、アルゼンチン牛と比べるのは可哀想だが、十分ウマい。
味付けはお塩だけのシンプルスタイルだけどバクバク食べれる。

ティネリールからバスに乗ってサハラ砂漠の入り口メルズーガへ。
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あまり興味のなかったサハラだけど、せっかくなのでやってきた。
ここで、チャリダーからラクダーへと転身を遂げる。
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ラクダに乗って砂漠の奥にあるベースキャンプで一泊。
ラクダといえば砂漠の交通機関として常套手段だが、その乗り心地はさして快適でもなく…。
一完歩ごとに、ズリズリと砂漠に足が埋もれるものだから、その拍子に僕もラクダの背中から放り出されそうになった。
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さて、ここから再びアトラス越えでヨーロッパを目指します。