2011年6月30日木曜日

カナディアンロッキーへの道

昨日のぐずついた空模様とはうって変わって日差しが出ている。
モーテルから出ると、まぶしくて目が開けれないほどだ。
気持ちを新たにさぁ出発。
福島の猪苗代の115号線あたりの風景に似てるような
森林を抜けると一気に視界が開けて、遠くに山々が見えるようになった。
風景が変わると走る気も俄然湧いてくるというものだ。
昨日は最後の最後にモーテル見つけれてよかったなと思いながら快調に飛ばす。

交通量も随分減り、僕を抜き去るのはバイカーやキャンピングカーが多くなってきた。
しかし、バイクのあの重低音は自転車の身からすると心臓に悪いんじゃないかというくらい体をダムダムと響いて来る。
それだけならまだいいのだが、バイクは車以上に自分の幅感覚が分かるものだから結構僕のギリギリを抜き去ることがたまにある。運転に自信があるからだとは思うが、自転車乗りからするとけっこうヒヤヒヤもの。ただ、ヒヤッとしたときには彼らは遠くの彼方である。

鉄の馬はどこへ向かうのか
昨日からずっと一緒のフレイザー川と線路と共にしばらく走る。
何度か川を越えると少しづつアップダウンが増えてきた。


遠くに見えていた山に近づいてきて、その山を巻くように道は続く。
山の所々に水が湧き出ていて見つける度に水浴びして一休み。
今度は別な意味でヒヤッとしてリフレッシュ。
つめてー

そうこうしているとお昼になったので、適当なところでランチ。
食費節約のために、昨日スーパーでゲットした冷凍食品のピザの包み焼きをモーテルで解凍しておいたのだ。モーテルもそうだけれど、時間あるときに次の日の行動食を作っておくと次の日が楽になるし、ガソリンスタンドで高い買い物もしないで済む。
ふふ、高いモーテルに泊まった以上、ただでは転びませんよ。
そして意外とうまい!

四つ入りで400円くらい


ルート7終了

そうこうしてる間に、ずっと走ってきた7号線の終点に到着。
再び、トランスカナダハイウェイ1号線に合流。

ここからのルートは2通りあり、地図上での最短ルートで行くと何やら山道が続きそうだ。
自転車は想像以上に登りに弱い乗り物だ。
ましてや推進力を生み出す後輪に重い荷物を載せていると余計にきつくなる。
ここは迂回して平坦な道を行った方がよいのか…。

近くにHOPEという街があるので水分調達がてら情報収集に行くことにした。
山が近い
街の入り口は程よい数のモーテルが林立していた。
この街だったら手頃なモーテルがありそうだと少し心が揺れる。

街はフレイザー河の川辺に面しており、水面に日差しが反射してまぶしい。
どうしよう?
いや、まだ3時半だぞ!

ビジターセンターに辿り着いて地図と情報収集。
おばさんに聞くと僕が行こうとしていたルートはやはり、山道が続くそうだ。
それにしばらくキャンプ場もないよと教えてくれた。

少し遠回りだけど1号線がベターということらしい。

僕はどうしようか悩んだ。

そうしたらおばさんが
『この街に泊まって明日早めに出発すれば?』と。
この言葉で心は完全に傾いてしまった。

まだ時間は早かったがこの街にステイすることにした。
キャンプ場を教えてもらい、この旅初のキャンプイン。
川辺に面した素敵なロケーションだった。
風が強かった
そんなに走ってないがリラックス
そして、街に滞在となれば当然…

今日もお肉
スーパーで肉を調達。相変わらず安い。

喰らう!!
えびせん発見!!
今日はは昨日より短い80キロしか走っていないが、走って肉食べて、シャワーを浴びて眠る頃にはあぁ最高の娯楽だな~なんて思いながら夢に落ちた。



翌日はおばさんの教えに従い、平坦な1号線を走ることに。

朝、トイレに行くとちょっとした出会いが会った。
この旅始まって初の旅チャリダー、オーストラリア人のアザックに会ったのだ。

実は彼を昨日ビジターセンターで見かけていて、僕と同じキャンプ場を紹介されていたのだがキャンプ場で見かけなかったので、別なところに行ったのかと思っていた。
そう思っていたら、このキャンプ場の奥の方にテントを張っていたらしい。

僕は入り口近くに張っていたのでちょうど彼が出発するタイミングで出会ったのだ。
イケメンである
彼も同じくバンフを目指すそうなのだが、ルートが違うこと、途中で仕事をするということで残念だったが、互いの安全を祈ってこのキャンプ場で別れた。

ちょっとだけの時間だったが、こういう仲間がいることに気分が盛り上がらないわけがなかった。

僕も出発。

いきなりの上り坂。

あれっ?

下りもあるが、そうするとすぐ次に再び上りが待ち受ける。

それほど急な坂ではないのだが、まだ体も出来ていないので
ここで無理して体を痛めるわけにはいかないので、素直に降りて押す。

かつては希望の道だったのか
だいぶ山に入ってきた
そこからは延々ちいさなアップダウンの繰り返し、100UPと思ったら、100DOWN。
バンフに着くころは1500UPなので、せっかく昇ったのなら、もうバンフまで下らないでほしいと呪うがそれでもそんなことなくアップダウンは続く。
1号線でこんななら、別ルートだったらやばかったな。

川と山に囲まれながら進むこの道は、東にハドソン川、西にアパラチアの山々に挟まれながらアップダウンに苦しんだニューヨーク州の道を思い出させた。

なんとも大仰な名前だ

だいぶ走ったが、一向に景色は変わらず。
街も30キロ~40キロに一つという割合だ。

だいぶ体力も奪われ、一時間に15キロ程度進むのがやっと。
それに昼ごはんに立ち寄ったガソスタにロクなものが無く、仕方なしにカップラーメンだったので
大して腹も膨れず、午後にはさらにペースが落ちてしまった。

元々アメリカを走っていたときは一日100マイル(160キロ)を基準に多いときは230キロ程一日走行していたので、今回もそのくらい走れると思っていたが、だいぶあてが外れてしまった。
あの時は、大学でもハンドボールをやっていたし、何より若かった。経験は無かったが、わけも分からずただがむしゃらに走るひたむきさを備えていた。

歳月というのは時に残酷で、僕の体はこの5年間ですっかり衰えていた。
自転車通勤はしていたものの、その程度では想像と現実はなかなかついてこないものらしい。


この旅初の大台突破
なんとか100キロを走った。

100キロ走って一応の体裁を工面することが出来た。

そうなると、かつての僕になくて、今の僕にあるものをひねり出すことにした。

それは







金です 笑

かつての経験則から情報収集力もUPしているので、
この先にしばらくモーテルがないことは分かっていた。

100キロ越えしたし、もう泊まっちゃえとモーテルイン。

財布落としたことはすっかり過去の笑い話です。

とはいえ一応探して街で一番安いとこにしましたよ。

この言い訳もこの5年間で身に着けた術です 笑

まぁ俺の金だ!どう使おうが俺の勝手だ!と開き直って快適モーテル生活で明日への充電をします。


因みに、今日のスーパーで見つけた日本製品。
ちゃんとロッテ製
 ポッキー。

もそうですが、本命はこちら!

釘。
なんとProduce For DAISO。
ダイソー製なのにお値段約4$也。
ぼろ儲けじゃないっすか~。

2011年6月29日水曜日

雨中のスタート(後編)

自転車で大荷物を抱え走っていると、コンビニならまだしも大きなスーパーマーケットにはなかなか入りづらい。

長時間荷物から目を離すリスクもあるし、荷物を全てもって店内をうろつくのも労だ。

スーパーで売っているものはコンビニで買うより断然安く、使えるアイテムが見つかったりする。
何より、その国の日常が見える気がする。

バンクーバーでは中心地に滞在していたため、まだこの国の生活の相場が分からなかった。

宿の近くであれば荷物を宿に置いて、じっくり滞在できるし今晩の食事も安く上げられる。
そういう理由もあり、何とかこの街に泊まりたかったのだ。

というわけで見つけた大手スーパー、セーフウェイへ。
テンションあがる♪
店内はめちゃめちゃ広く、同じ商品でも数多くの種類がある。
何が違うか分からないので僕が選ぶの基準はその中の最安値or最大量。


広い…
チーズだけでこの品揃え!
ちびフライパン。テフロン加工で旅向きかも。
激甘お菓子たち
大好きなレッドブルはこっちでも高い
このスーパーは会員になると値引き価格で購入できる。
どういう仕組みか分からないが、精肉系はただでさえ安いのにさらに半額近く安くなる。



死ぬほど安い。
最近、動物性たんぱく質を取っていなかった気がするので、今日はBBQだとばかりに牛肉購入。

本日の釣果
宿に戻って、さっそく調理。
さすがに部屋の中で火器は使えないので、部屋の前でクッキング開始。

いざ!一切れ1,5ドル
いいかんじ
出来た!!

実食!!


美味。
塩コショウだけで十分うまい。
赤身肉が好きな僕にとってここは天国か。

当然、2切れ目

好吃(ハオチー)!!
速攻、完食。
それでも足りなかったので、買ってきたトマトパスタも食べる。

味は見た目どおり(笑)
バンクーバーにいたときはブリトーも食べ切れなかったのに、わずか一日で体がチャリダー体質になってきている。
食がエンジンですもんね。


デザート&コーヒー
最後はフルーツでビタミン補給。これまた美味かった。
これだけ食べてトータルコスト6ドル!!安し!!

肉は鮮度の問題があるので持ち運び出来ないけど、美味いし、いいなぁ。
スーパー近くにモーテル発見したらすぐ投宿してしまいそうだ…。

というわけで出発初日は最後はご満悦という結果で終わりました。

2011年6月28日火曜日

雨中のスタート(中編)

昇った道を戻ると難なく目的のルートは見つかった。
安堵感とともに、ドッと沸いた疲れを感じながら進む。
橋を越える
さらに越える
しまなみ海道の多々良大橋を思い出す
ひたすら漕ぐ。

もう雨や泥汚れは気にならなくなっていた。

いわゆるチャリダーズ・ハイ状態になり遅れを取り戻すべく 一気に進む。

フレイザー川と鉄道が平行して走る
とはいえ出発の時間が遅かったので、夕方が近づいてきた。
夕方といっても今の時期は高緯度のため日没が22:00くらいなのだが。
それでも、そろそろ寝床を探さなければ。

隣を鉄道が走っているおかげでなかなかよい野営地は見つからず。

それに雨の中をずっと走ってきたので、この泥だらけの状態をなんとかしたかった。
財布を落とした後で贅沢するのは気が引けたが、
ここで節制をしてテンションが落ちるよりはマシだと自分に言い訳をしてモーテルを探す。

Missionという街に入ると直ぐにベストウェスタンというチェーンのモーテルが目に入った。

『まずいな…』

というのはチェーンのモーテルで大体街の宿の相場は分かるというのが僕がアメリカを旅して取った杵柄なのだ。
で、その中にある個人経営のモーテルだと一回り値段が落ちる。
ベストウェスタンは僕の中で割と高級モーテル。エコノロッジとかモーテル7とかがあればかなり期待出来るのだが見当たらない。
因みにモーテルの値段は田舎過ぎても高いし、都会過ぎても高くなる。
幹線道路近くのそれなりの規模の街だと上手く競争原理が働いて安くなる。
アメリカのルート66のトゥクムカリという町はその典型で選び放題でそして安かった(20ドル台で泊まった記憶がある)
 
というわけで先にあった個人モーテルを訪ねると税込み81ドル。
やっぱ高い。


この街の相場は80ドル~かなと思いつつも、宿の主人に別なモーテルを教えてもらった。

5分もかからず辿り着くも、ダウンタウンに面した好立地。

あえなく満室で敗退した。

止むを得ず野宿かと思いながらダウンタウンを走りぬけ、街を抜けた。
この先40キロ大きな街はなさそうで、時間も6時を過ぎている。

これは自分の中の約束事なのだが、宿に入るときはなるべく早く・チェックアウトは遅く、野宿の場合はなるべく遅く、出発は早めにと使い分け、せっかくお金を出すのだからコストパフォーマンスを高めるようにしている(けち臭いって言わないでくださいね)

その境目が5時から6時なのだ。

モーテル泊を諦め野営地に目星をつけながら走ること数キロ。
前方に一つの看板が見えた。

『モーテルだ!』

しかも個人経営。
ここで決めたる!とオフィスを訪ねる。

『ハロー、マイフレンド。今日はどうしたんだい?』

「部屋は空いてるかな?」

『もちろんさ』

「いくらだい?」

『71ドルだよ』

まぁこの街の相場だが、もうここで泊まることに決めたのだ。
そこですかさず

「税込みだよね!?」

『いや税込みだと80…まぁいいや、70ドルでいいよ』

作戦成功!!少々お高いが泊まる事にした。
チェーンのモーテルに比べて個人のところはこういう融通が利いて助かる。

しかも部屋は今まで泊まった中でもトップクラスに良い部屋だった。

ダブルベッド二台使い

バスルームもきれい
高いお金を出しただけのクオリティに狂喜しながらも、すぐに荷物を置いてダウンタウンへと戻った。

この街に泊まりたいと思ったのも、実はダウンタウンが小さいながらもかわいい感じだったので、
少し見て周りたかったからなのだ。
カラフルな建物がいいかんじ
メインst
残念ながら土曜の6時過ぎのためお店はあんまりやっていなかったが、この街の雰囲気は少しは味わえたかなと思う。

そして、もう一つこの街に泊まりたい理由がある。

それは、ショッピングセンターがあるからだ。

長くなってすみません。

後編に続きます。

2011年6月27日月曜日

雨中のスタート(前編)

『いつまでも走り出さずにダラダラしてるわけにはいかない。
僕はそんなに都会に長居出来るほどお金もないし、行きたいところもない。
3日間のバンクーバーとの蜜月に終止符を打つのだ!

と思ったら本日は雨模様…。
どうしよ…??』

というのが今朝のことである。
出発をしようとした日に限って雨なのだ。
しかもけっこう強い。
前の日も遅くまで夜更かしをしていたこともあり出発の決断が鈍りかける。
天気予報はにわか雨の予報だったので、不貞寝をして様子を待つ。







チェックアウトギリギリの時間になり、少し雨が弱まる。

南西の空は割りと明るかったので、止むかなと思いながらチェックアウトへ。

三日間僕の世話をしてくれたマネージャーのジョンから思いがけないサプライズが。

僕に“悪い思い出じゃなく、良い思い出が出来るようカナダのTRIPを楽しんで欲しい”からと鍵の紛失の罰金を20ドルにまけてくれるという。

一瞬なんで??と思ったけど、有り難くその申し出を受け取ることにした。

それから、これからバンフに行くことを話したら、驚きながらも地図や道中の見所などを熱心に教えてくれた。

5年前から思うことだが、仮に日本で外国人に対して自分が同じことを出来るだろうか?
こういうことが自然に出来ることが単純に凄いなと思う。
大袈裟でもなくカナダのホスピタリティの一端を垣間見れた気がする。

いつの間にか、外は雨でも走る気持ちが沸いて来た。

皆様、バンクーバーにお越しの際はHOTEL Ambassadorへ!!

看板娘のアイリスと
バンクーバーのブルース・ウィルスことジョンと。ダイハード!?(ジョン・マクレーン)


意気揚々とホテルを出発したはいいが、すぐに雨に打たれてしまい少し萎える。
ドロヨケをつけてないので大量の水しぶきを上げるのだ。
基本的に雨の日の走行は事故の危険もあるのでしないつもりだった。
それに今後、2.0以上のタイヤを履くことになったらドロヨケが干渉してしまうので外したのだ。

足と背中に雨水を巻き上げながら自転車はひたすら進む。

今日は気温も低く、自転車を漕ぎながらの体温調整が難しかった。
雨も降っているので体感温度はさらに低く感じる。

休憩のたびに脱ぎ着を繰り返すのがすこし億劫になってしまった。

ホントさっきまでの気持ちはどこいったのやら…

やがて総延長8,030kmカナダを貫く大動脈のトランスカナダハイウェイに乗る。

が、まだバンクーバー都市圏を抜けていないため交通量が半端じゃない。

制限速度は80kmだがそんなことお構いなしでそれ以上のスピードで水飛沫を上げながら僕を抜いていく。
路肩もせまく、雨も手伝ってかなりヒヤヒヤする。

2kmくらいおきにハイウェイの合流と出口があるのでその度に道路を横切らなくてはならず
こんなに神経を使っていたら楽しめないし、気を抜いたら死ぬかもと思いハイウェイを離脱した。

並行して走る別な道を行くことに。

ここは制限速度が70kmなのだが、民家もロードサイドにあることもあり、みんな運転はセーフティ。
生き返った気持ちになりながら走る。

休憩はサンドイッチ
雨降り走行は神経擦り減る。


雨も小降りになってきて、やがて次の街が見えた。
ロードサイドは典型的な北米の郊外といった感じでシアーズやベストバイなどのお店が立ち並ぶ。
カナダもアメリカと変わらんな~なんて思いながら走っていると前方に山が立ちはだかった。
あの山を越えるのか!!
1500mUPの第一弾が来たか!と気合を入れて進む。
僕の速度計には斜面の斜度を測る機能がついてるのだが、常に7°~8°を指していた。
こりゃたまらんと押して進む。
40分ほどで300m程登ることが出来、1500mの1/5クリアじゃん!と喜んだが、何か道が生活道路じみている。コンパスを見ると北を指していることに気付く。
僕は東へ向かっているつもりだったのだ。

『道をロストした!!』

かなりテンションダウン…。

現在地を調べるべく、ここで秘密兵器のXperia登場。

話は逸れるが、こっちに来てこいつのGPSを使った上手い使い方はないものかと実験をしていたのだが、どうやら本体のローカルキャッシュに地図を落としておけば電波の届かないところでも
GPSとして使えることが出来るようだ。
もちろん、海外で通信を行うと高額なデータ通信料になってしまうのでデータ通信はWiFiが使えるところで行い、これからの地図データを落としておくのだ。
もしもの時の通話も含めて月額使用料1000円程度で大きな安心を得られる。
すごいぞ、スマートフォン。

話を巻き戻して、GPSを使って調べると、道を大きく逸れて北に向かっていた。
どうやらロードサイドのお店に気を取られているうちに標識を見落としていたようだ。
そして再び雨脚が強まってくる。
昇ってきた300mの道はすべておじゃんになり、来た道をやけくそで駆け下りた。