2012年8月30日木曜日

新たな装備を求めて

夜行バスに揺られ再びリマに戻ってきた。
リマに戻ってきてからもこまごまとやらなければいけないことが重なっていた。

まずは新しいストーブ探し。
僕の使っていたMUKAストーブが駄目となると選択肢は唯一つ。
Cascade Design社のMSR以外考えられない。
もともと僕はこのメーカーのウィスパーライトというモデルを持っていたのだが
旅に出る直前にSOTO社のMUKAストーブが発売され、そっちに浮気してしまっていた。
持ってるものと同じモデルを再び探し求めるという、アホな展開…
果たして見つかるか?

前回触れた通り、リマのアウトドアショップTattooはとくにギア関係の品揃えは貧弱。
ワラスにもTattooがあったがそれも同様だった。
そこでメーカーHPからペルーの正規取扱店を探すと、Tattooの他にもう一店舗見つかった。

“Camping Center”

やばい、名前からしてしょぼい香りがする…

まぁ最悪、Tattooに頼んで取り寄せもしくはボリビアのラパスまで我慢すれば手に入るかなと思いつつ
件のCampingCenterへとタクシーを走らせた。

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うん、ないね、この店構え。

やっぱり名前通りでしたわ。

でも、ま。一応覗いてみるか。
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おっ。
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おおっ!?
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まさかの優良店の香り。
ペルー入国早々壊れてしまった、ベゼル回転式のコンパスまで売ってるし。

そして店内中頃のショーケースには
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MSRキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
しかも今年リデザインされたモデルが一揃いしている!!

というわけで買っちゃいました。
MSR WhisperLite Universal。
このモデルは従来のガソリン・灯油に加えてガスも使えるハイブリッドモデル。
この辺りまでくると、クスコ、ラパス、サンティアゴとガス缶の入手が計算出来る都市があるのでガスメインで使用しつつ
サブでガソリンとゆう使い方ができるので、迷わずこいつをチョイス。
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いやぁ良いお買い物が出来ました。

そしてスミマセン、舐めてましたCampingCenterさん。

2012年8月28日火曜日

ワラスの締め方

サンタクルス谷を歩き終えて無事ワラスに戻ってくることができた。
公園を出るときにスタンプを押されたチケットを眺めてながら回想にふける。
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たったこの一枚の紙切れを手に入れるためにどれだけ振り回されたことか…

それも過ぎたこと。

再び自転車旅を再開するための良い気分転換にはなった。

そして今回は装備のチェックを怠って大変な目にあった。
ちゃんと後の手入れはしておこうということで、濡れた装備を清掃&乾燥タイム。
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壊れたストーブは部屋で改めていじってみたがやはり動かず。
ジェネレータを交換すれば復活するかもしれないが、海外でのサポートはほぼ期待できない僕のストーブでは
目の前に迫ったナスカ~クスコのアンデスルートはもちろん、ボリビア、パタゴニアの無人地帯での使用に心配が残る。
リマに戻ったらストーブは買い換えよう。

ウェアも洗濯屋に出して、汚れもすっきり。
まさに“来た時よりも美しく”を実践してワラスを去ることが出来そうだ。

装備の手入れが終わったことで、残るは自分の手入れ。
コレクティーボに乗って向かった先は
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アンデスの恵み、温泉!!

ペルー北部カハマルカ同様にここワラスでも温泉施設がある。
いっちょ旅の垢も疲れもすべて洗い流すことにしよう。

欧米人ツーリストがうれしそうに泳ぐ温水プールになど目もくれず向かった先は個室風呂!!
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カハマルカのときと同じく、一回一回お湯を抜いて自分で湯温を調整して入るシステム。
ただ、カハマルカに比べて狭いし、清掃もちょっと手抜き。
ちなみに湯船が茶色に見えるのは、この辺の温泉が鉄分を含んでいるため。
顔を近づけると、かなり鉄臭い。

湯船にたっぷりと湯を溜めて入船。
あっつあつが心地良い。

自然と“ふぅ~”とか“はぁ~”といった吐息がこぼれる。
やっぱり温泉はいいもんだ。

湯上り、すっかり茹で上がった体を冷まそうと外のベンチでゴロリ。
ちょうど午後の気持ち良い風が吹き抜けていった。
乾燥したこの地域、湯上りの風はたまらなく、気付けばウトウトと…

すっかり冷まし過ぎた体に気付いて目が覚めた。

ゴホッゴホッ。

旅の垢を落とすつもりが、ついでにお土産ももらってしまった。。

それでも遺跡にトレッキングに温泉…
充実したワラストリップだった。
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2012年8月26日日曜日

サンタクルストレック おまけ

サンタクルスから拾ったコレクティーボはユンガイ止まり。
ユンガイは1970年の大地震でワスカランからの雪崩で完全に崩壊し、少し離れた場所に再建された街。
地震の飲まれた旧ユンガイには慰霊碑があるそうだがそこを見る体力はトレッキングを終えたばかりの身には少し酷だった。
ユンガイでそそくさとワラス行きに乗り換える。

車内ではぐったりとお疲れモードであったが、耳から入ってくる乗務員のある言葉を聞いてはっと目が覚めた。
その言葉に何か強烈な使命感を覚えて僕はとある街で途中下車をした。
その街の名は
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さぁもう一度
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見渡す限り
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ようこそ
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清純派の皆様失礼しました。
卑猥な名前の多いペルーにあってこの直球具合、嫌いじゃないな。

チンコ村の名誉のためにいっておくと、村は至って普通の小さな村です。
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もっともワラス~カラスへ続く風光明媚なこのルートにあっても、こんなところで降りる観光客はいないようで
村を歩いていると、いろんなところから視線を浴びて声をかけられた。

路上のアイス売りがいたのでアイスを食べようとすると、近所でサッカーをしていた村のこどもが僕のカメラに興味津々。
子供が写真撮らせてといってくるので自分を撮ってもらった。
すると、子供が撮ってあげたんだからアイスおごってとせがんできた。
しょーがねーなーと子供たち4人におごってあげたら、、、
即座に村じゅうにアイスおごってくれるお兄さんが現れたと噂が広がる。
瞬時に子供たちが一人また一人と増えだす。
そしてこれまたアイス屋のおっちゃんがアイスをすくうのが遅いもんだから、そのうちにまた子供が増える。

おいこら、おまえ全然かんけいないだろ!
おっちゃん、わざと別な子供にアイス渡してるだろ!!
またひとり増えたよ…
お前2個めー!!!
えーい、もうこうなりゃ…
全員アイスもってけー!!!!

とまぁこんなかんじで…
思わぬ散財。
これ、もしやおっちゃんと子供にしてやられた??
それともチンコ村で一瞬にしてこんなに子供たちを惹きつけたのは変態の為せる業か。
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そんなこんなのチンコ村の風景。

ちなみにバス待ちの時、バス停の兄ちゃんが暇そうに声をかけてきたので
君が住んでる街の名前は日本じゃ男の人のあそこだよって教えてあげたら大爆笑していた。

うむ、やはりシモネタは世界共通言語であると確信した日であった。

2012年8月24日金曜日

サンタクルストレック 3日目

三日目の朝を迎えても、空模様は相変わらずの雨。
大岩のおかげで雨の直撃は免れたが、滴る雫や風で流れた雨粒と泥でテントはまぁまぁビシャビシャ。
逆に気温は雨のおかげか標高の割に極端には冷え込まず、こちらの意味では助かった。

朝は温かいスープでもといきたいところだが、昨日ストーブが壊れたので仕方なくビスケットで朝ご飯を済ます。
泥のついたテントをザックに押し込み、本日も行動開始。
このあたりからなら恐らく昼過ぎには下山出来る目算だ。

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左手に深く切り立った谷を見ながら、少しずつその谷に向けて標高を下げていく。
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1時間ほどで下まで下りきってパリアのキャンプ場に到着。
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このくらいの頃には雲にも切れ間が入るようになり、そのすき間から一瞬、万年雪を蓄えた山脈群が見えた。
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あれはパロン山だろうか?
今回のトレッキングで初めてまともにブランカ山群の頂を望むことができた。
その時、体がゾクゾクと興奮をおぼえた。
あの頂から見下ろす景色はどんな景色だろう?

興奮を抑えつつ、先へ。
パリアを過ぎると一転して、コスタリカの熱帯雲霧林のような着床植物が目立つ苔むす森に。
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曇り空がより雰囲気を演出して、まるで僕のイメージする戯曲“魔王”で父子が魔王から逃げている森のようなところ。
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しかしサンタクルストレック、まさしく山あり谷ありおまけに川あり森ありで本当にバラエティに富んだコースだ。
これで晴れて眺望もきけば文句なしだっただろうに…。

トレイルは再びパンパ地帯へ。
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その先にウアリパンパのキャンプ場が。
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パリアのキャンプ場もそうだったがこのウアリパンパのキャンプ場でも一人のハイカーも見かけず。
シーズン時の今の時期に誰にも会わないってことは昨日のここらは相当に天候が悪かったのだろうか?

ウアリパンパのすぐ先に公園事務所があり、そこで下山手続き。
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てっきり終着点のバケリアまでトレイルは続くのかと思ったが、地図も示すようにワスカラン国立公園の敷地はこの辺で
終わり、あとは集落の生活路を通ってコレクティーボの通るバケリアを目指すようだ。
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そこそこ人口もいそうなウアリパンパの集落。
電気も通っているようだったが、車の通れる道はなく物資は未だにロバ頼み?なようだった。

そしてバケリアへ向かう最後の登り。
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三日間の疲れ、後半ちゃんとした食事をとれていないせいで最後が一番きつかった。
2度3度休憩を重ね、バケリア手前でコレクティーボを発見。

3日間のトレッキングに幕を告げた。

正直なところ、景色は楽しみきれず道具の故障も続いて2日目以降は歩ききるための逆算ばかりしていて
楽しめたかというと疑問符がつくが、それでも歩ききった安堵感というものは何者にも勝る快感だ。

帰りのコレクティーボはこれまででも最上級のボコボコのダート道を唸りをあげて登っていった。
時々岩を乗り上げた衝撃で僕の頭が車の屋根に突っ込むほど。
そこから見える景色はチャビン遺跡への道にも勝る風景。
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峠の先には、足元にヤンガヌコ湖を正面にペルー最高峰ワスカランを捉えた。
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悔しいが、景色という面ではこのトレッキング中一番ゾクゾクワクワクした瞬間だった。

タイミングといってしまえばそれまでかもしれないが、いつか今度は晴れのサンタクルスを歩きたい。
そしてブランカ山群の高峰にも挑戦したい。

山は逃げないから、それを実現するもしないも僕の気持ち一つなのだと思う。
いつか、また。

2012年8月22日水曜日

サンタクルストレック 2日目

2日目の朝。
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昨日から吹き続けた風は今日も止むことなく、よりによって行く手に雨雲を運んできた。
まだこの辺りは雨に振られていなかったが、降りだすのも時間の問題だった。
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後方は台風一過のごとく、すっきり。
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何を好んでこれから雨が降るであろうところに突っ込んでいかなければならないのか。
ちかくにいたツアーガイドと話をしていると、彼らのツアーはここで一日停滞することにするそう。
出来れば僕もそうしたいところだったが、生憎僕の小さなザックでは4泊分の食料が限界で今日進まなければ今後の食料に不安が残る。
リマの日本食材店で仕入れた出前一丁を食べて出発。
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歩きやすい踏み固められた草原地帯を軽快に飛ばす。
しばらく行くと左手に湖が。
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ここでリマの宿で一緒だった女性とばったり。
彼女は反対側から歩いてきたそうだが、昨日も終日雲に覆われて全く景色が見れなかったそうだ。
軽く立ち話をした後、再び歩き始めると川底のような場所に出た。
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砂がちな足場で歩きづらいなと思っていると、いつしか今度はガレガレの岩場地帯に。
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雨季にはこのあたりも川になるのだろうか?
岩にせよ砂にせよどちらにしても歩きづらい。

しばらく行くと分岐のような場所に出た。
谷沿いに行く道のはずなのに、トレイルは山をスイッチバックで上がってゆく方が太くくっきりに見えた。
ちょうどそこを下りてきたハイカーとガイドの姿が見えたので、道はこっちであってるか尋ねると
そうだという。
しかし、ぐいぐいと標高を上げる道はどう考えても違う。
ただ、上の方は眺望がよさそうだったのでとりあえず登ってみた。
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サンタクルス谷の僕の歩いてきたルートが一望できるビューポイントだった。
改めて言いますがこれは後方の写真であって引き続き前方は真っ暗です。

地図を見るとどうやらこのルートは“世界一美しい山”と呼ばれる標高5947mのアルパマヨ山のベースキャンプに続く道だった。
ただ残念ながらアルパマヨは雲に覆われて見ることは叶わなかった。
ところでなぜこのアルパマヨが世界一美しいと形容されるようになったか、調べてみると
ドイツかどこかの雑誌で登山家たちにアンケートをとった際の一番がこのアルパマヨだったらしい。
標高といった具体的杓子ではない“美しい”という抽象的概念で世界一というのは
ひねくれた言い方をすれば“世界一美しい”のあとに“と感じる人の割合が一番多い山”ということではないか。
まぁこれは、悪天候でアルパマヨを拝めなかった負け犬の遠吠えであるが。

さて、話を戻すとまた道を間違えた僕であったが前方にサンタクルストレイルへ復帰できそうな小道を確認したので
来た道は引き返さずにそちらで行って見ることに。
向こうには平原が広がっており、おそらくあの辺りがタウリパンパのキャンプ場だろう。
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到着したタウリパンパは周囲360°をぐるりと山に囲まれるロケーション。
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通常であれば2日目はここで一夜を過ごす。
時刻は12時。
早い時間に到着してしまったのと、ここで一日を過ごしても恐らく視界は晴れそうにないのもあってそのまま通過することに。
前方にはトレッキング最高点のウニオン峠。
4700mを越える標高でもし雨に振られれば下手すると路面が凍る。
今日中に峠は越えておこうということで午後の部を開始した。
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峠に向かって伸びる道はこれまでと違って勾配がややキツくなり、この高度と相まって息が切れる。
おまけに雨というか時雨のような水分の混じった雪が降ってきた。
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50mほど歩くたびにぜぇぜぇと荒い呼吸をしながら休憩。
高度障害はなかったが雪と雨で気持ちが乗らないのもあってかなり大変だった。
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峠付近に差し掛かった頃、一組のツアー客とすれ違った。
“大変だね”なんて声を掛け合うと、お互いアッとした顔になった。
エクアドルの首都キトで一緒にスラックラインで遊んだカップルだった。
まさかこんなところですれ違うとは…

キトでスラックラインをしていたときは、パナマ~コロンビアを一緒にヨットで旅したトリントンに再会できた。
まったくもってこのスラックラインが導いてくれる縁ってやつはすごいもんだ。
まぁ、こいつは重いしかさばるからもう日本に送り返すことに決めたんだけども 笑

二人にあとちょっとで峠ということを教えてもらい、ひと踏ん張り。
ようやく峠に到着。
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峠を越えれば多少天気はマシになってるかなと思ったが、峠の向こうは果たしてさらなる雲が立ち込めていた。
オマケに足場が大きな岩の上なのでかなり滑る。
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2度3度転びそうになりつつ下りてゆく。
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途中、キャンプ出来そうな湖の脇を通りがかったが、この悪天候できれば何か遮蔽物のあるところにテントを張りたい。
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岩場地帯を抜けるとようやく、草原地帯に入ったがもうこの辺の足場がグチャグチャ。
しばらく行ったところに大きな岩石を発見して本日はそこにキャンプイン。
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テントを張って、さぁ晩飯だとガソリンストーブを準備するも点火せず。。
点火どころかまったく作動していない。

実は今朝ラーメンを作った時もストーブの調子が悪く、いろいろいじったらようやく直ったのだった。
ただ今回はいくらいじっても全く点く様子はなく。
完全に壊れたようだった。

テントに引き続きストーブまで。
ついでにいうと予備のライターまで壊れていた。

山に入る前に装備のチェックは基本だと叱られそうだが、一度にこんなにトラブルに遭うなんて。。

仕方なく、多めに持っていたお菓子を食べて早々にシュラフの中へ。

どうもペルーに入ってからというもの山岳地での相性が悪い。
エビで食あたりに始まり、峠ではことごとく雨、ダートに心折られ、装備が次々と故障。。
呪われているとしかいいようがないほど。

それにペルーでは強盗に怯え、砂漠の向かい風にやきもきさせられ、ドライバーのクラクションにイライラさせられ…
どうも楽しみきれていないな。

せっかくリフレッシュしにワラスにきたのにこの有り様…

いったいどうなっているんだ??