2011年7月31日日曜日

アメリカ中盤戦以降のルート

ブログの更新が滞っていますが現在、ソルトレイクシティ付近まで下りて来ました。

今後のルートを再度練り直しました。

明日ソルトレイクへ到着します。
ホステルに滞在予定で、アーチーズ国立公園へのツアーがあれば参加したいと思います。
ちょうど、アウトドアリテーラーショーもやっているので、なんとか入れないものかと調べたら
ノンバイヤーはチケット代が400$超とエクスペンシブ!!
なので諦めます…

ソルトレイクからはUSハイウェイ89号を基本として南下し、ブライスキャニオンへ。
現在標高が下がって(といっても1400mあります)かなり暑いので、また標高を上げて暑さを凌ぎます。

その後、ザイオン国立公園へ。この辺りはこの時期灼熱地獄なのでどうなることやら…
ザイオンを抜けた後セントジョージでレンタカーをゲットし、一路砂上の楼閣ラスベガスへ。
ちょうど、お盆休みで両親が来ることになったのです。

レンタカーでどこに向かうかは未定です。

一週間ほど走った後は再び、セントジョージに戻って自転車旅を再開。
グランドキャニオンのノースリムを経て、アンテロープキャニオンを見れたらいいな。
東に進めば、モニュメントバレーもありますが、こちらは一度行ってるのでパスしてさらに南下。
フラッグスタッフの南のセドナへ寄り道。

I-40を東進しアルバカーキを目指します。
フラッグスタッフ~ギャラップ間は、5年前にモニュメントバレーへ寄るためにルートから外れていたので、ここを走れば、ルート66を完全制覇となります。
アルバカーキでメキシコに入る前の自転車の整備をしてさらに南下

イエローストーンと並んで、アメリカの最大の目的地の一つであるホワイトサンズ国定公園へ。

そしてエルパソからメキシコ入国というルートで行きます。
約2600kmの旅路。
1ヶ月半~2ヶ月くらいかかると思います。

さぁ、どう転がっていくのかな??

2011年7月29日金曜日

アメリカ入国

前の晩からの曇天が朝になっても一向に回復しない。
雨は止んでいたのでテントを撤収し、出発準備をする。

今日は国境越えなので早めに出発したかったけれど、この空模様で
前回の失敗があるので、ゆっくりカフェでモーニングをすることにした。

カナダであまり、まともな朝食を食べていなかったので最後に奮発してみた。
注文を待っている間に、再び外が雷雨に見舞われていた。
一呼吸おいてよかったなと、優雅な気分で朝食を頂く。
パンの上に乗ったオレンジが綺麗に皮も向かれていて程よい酸味とソースの甘みが絶妙だった。
小1時間ほど、コーヒーを飲んで雨待ちをすると外に青空が戻ってきた。

アメリカへいざ行かん!

このウォータートンレイクス国立公園とこれから向かうグレイシャー国立公園は国境を挟んでカナダ・アメリカの友好の象徴として二つで一つの公園として制定されており、世界遺産にも登録されている。(の割には入場料はそれぞれ別にかかる)
そして夏の間だけ国立公園内に国境ゲートが開かれているのだ。
アメリカへ渡る国境は他にもあったが、せっかくなので公園内のchief mountain gateからアメリカ入りすることにした。

街から国境までそれほど距離はないのだがけっこうな坂道が続いていて雨上がりの湿気で汗がダラダラ吹き出てくる。
その汗に反応してか、小バエが常時10匹程僕の周りをまとわりついてくる(河で汗を流すと一時的に寄って来ないので多分汗です。)
上り坂ででスピードも出せないので振り切ることが出来ず、息を吹きかけて追い払ったりしていたので余計に疲労が増してしまった。

2時間かけてようやく国境到着。

入国審査のために帰りの飛行機のチケットも用意していたのだが、特に見せろと言われる事もなくあっさりと入国審査完了。
僕の心配は杞憂に終わったようだ。
ちょっと肩透かし&せっかくチケットを用意したので損した気分になるものの、とにかく2ヶ国目・アメリカ合衆国入場だ!
この国には何度か来た事があったので、改めて数え直してみるとなんと7回目の入国だ(陸路でカナダやメキシコから再入国したのを含む)

しかしアメリカ入国したとはいえ、この国境は山の中にポツンと立つゲートなのですぐに景色が変わることなく森は続く。
しかも国境がサミットかと思っていたが、その先もアップダウンに苦しめられる。

ひぃこら言いながら走っていると、道の先に黒い物体が…
牛である。
ずっとこっちを見ている…
普段は柵の内側にいるのでなんてことないのだが、野放しで道路に立ちはだかるその姿は圧倒的そのもの。いや僕が臆病なだけか。
牛に襲われたなんて話は聞いたことないけれど、あの巨体で体当たりされた日には一発でお陀仏に違いない。
本気で走るバッファローは時速40~50kmで走るらしい。
バッファローと牛とは違うのかもしれないけれど、数日前にバッファロー博物館を訪ねて余計な知識を得たばかりなので、余計に牛が恐怖の対象に見えてくる。

しばらく彼と見つめあい、僕に敵意はないことを伝え、彼が去るのを待つが彼の視線は僕に釘付け。
そりゃこんな辺鄙な道に人間が通れば興味は津々なわけだ。
たまに通る車と一緒に一気に駆け抜けようにも、上り坂でせいぜい本気で漕いでも20km程度。
あっさり捕まってしまうだろう。
おまけにちょっと下ってきたので前後ともに上り坂。まさに袋小路に追い詰められた気分だった。

時間にして3分くらいだと思うけれど、色んなことが頭のなかを駆け巡った。
例えばこれが人間だったら、言葉は通じなくてもなんとか伝わるものがあるけれど、動物や天気、自然は容赦なしだから怖い。
悩んで悩んで、そぉっと彼の横を通ることにした。

ゆっくりゆっくり…
襲ってくるなよ~と祈りながらペダルを回す。

その距離10m、9m、8m…


…おや?

なんだか大丈夫そうだぞ…?

襲ってくる気配が無さそうだったので、ならばとばかりに僕はカメラを取り出した。
電源を入れ、牛にピントを合わせる『ピピッ』っという音がなった瞬間…

ガサッ!! 

音に反応して急に牛が動き出したのだ!!

動き出した方向は僕の方ではなく、僕から逃げるように走っていった。

どうやら何かされると思ったらしい。
これには僕もビックリして自転車で転びそうになった。
しかも、その脇の茂みから他の牛たちが5匹、6匹とたくさん出てきて一緒になって逃げている。

『こんなにいたんだ…』


呆気にとられながらも、とにかく自分の身の安全が確保されたことにホッとする。

『そうだよな、襲ってくるわけ無いよな』

ようやく冷静な思考状態に戻って彼らを横目に見ながらやり過ごす。


その後も同じような状況が何回かあったが、問題なく通過する。

走ることさらに2時間ようやく頂上に到達したらしく、あとは一気のダウンヒル。

しばらく下ると、メインロードのUSハイウェイ89号のジャンクションが見えてきた。
89号に合流すると、道も格段によくなった。
交通量は多いが、路肩が広くなり、アップダウンも緩くなった。
思わず、『人里最高!!』と叫んでしまった。
ただし、悪い変化もあった。
道端へのポイ捨てがカナダに比べ格段に増えた。
しかもその大半が、ビール瓶や缶だ。
カナダではアルコールを買える場所が限定されているけれど、こちらでは普通にストアで購入することが出来る。


入手の難易度が変わるだけでこうも違ってくるとは…
それにこれだけポイ捨てされているのを見ると、ドライバーたちは皆平気で飲酒運転をしているんではないかと勘繰ってしまう。
いくら僕が交通安全に気をつけていても、これでは全く意味がないではないか。
そうはいっても僕に出来ることは道の端っこを走ることだけなのだけれど。


なんてことを考えていると、間もなくガソリンスタンドを兼ねたストアが見えてきた。
本日の目的地、グレイシャー国立公園は目の前だったけれど、一息入れることにした。

いつものようにアイスを物色…
むむ、値段が安くなっているぞ。
品揃え自体はほとんど変わりないのだが、全体的に4分の3~3分の2ぐらいになっている。
米ドル⇔カナダドルのレートを知らない状態だったので円換算で考えてみると、昨今の円高も手伝って大袈裟に言うと、カナダの半額くらいに見えた。
カナダでは物価高に苦しんだので、アメリカもそう変わらないのかも…と半ば諦め気味だったのだが、国境付近の小さなストアでこの値段なのだから、大きな街のストアへいけばもう少し値段も下がるはず。


うきうき気分でグレイシャー国立公園へ向かった。




 

2011年7月25日月曜日

国境の公園にて

昨晩は随分ひどい雨だったようで、夜中も雨が屋根をたたく音でたびたび目を覚ました。
明け方にかけてもなかなか天気は晴れず、こりゃ連泊かな…なんて思いながらチェックアウトギリギリまで待つとようやく晴れ間が見えてきた。

街の外れのキャンプ場へ移動し、テントを張る。
そういえばまだ何も食べてなかったなとバッグの底からカルガリーで入手した辛ラーメンを取り出し調理した。
これはこれでうまいのだけれど、あの味噌ラーメンと比べてしまうとやっぱり少し物足りないかも。

腹ごしらえをしてウォータートンレイクス国立公園を観光。

街の入口から出ているアカミナパークウェイを自転車でサイクリングへと漕ぎ出した。
しかしいきなりの激坂で最初から押しが入る。
この道の最終地点の標高が分かっていたので登りは予想していたのだけれど、いきなりの坂道に面食らってしまった。
傾斜がきついのは最初だけであとは何とか押さずに登れる道をひたすら15km。
アカミナ油田。カナダ西部初の油田だそうだ

道の終点にはCameron湖が広がっていた。

この対岸はアメリカとの国境線である。
さっそくカヤックをレンタルして対岸を目指してみる。
しゅっぱーつ

約2年振りのカヤック。水面に近いところでの浮遊感は何度乗っても楽しい。
調子に乗って漕いでいたら、あっという間に向かいの氷河近くまで来てしまった。
船着場のあたりは大分人で賑わっていたけれど、ここまで来るとほとんど誰もいなく、静かな湖と、氷河に囲まれ贅沢な時間を過ごすことが出来た。

しかし、レンタルの時間も迫っているので戻らなければならない。
ふと、振り返ると船着場がまったく見えない。
随分遠いところまで来てしまったと少し辟易しながら戻った。
行きは氷河が近づいてくるのが楽しくてどんどん進んでいったけれど、帰りは目的が無い分精神的に疲れてしまう。
30分ほど漕いで船着場が見えたときは少し安心した。

カヤックから降りて、受付でアイスを食べて一休み。すっかり休憩といえばアイスという習慣になってしまった。

湖からヴィレッジへ戻る道は、来た道を戻るだけなのでひたすら下り坂。
カヤックは(河や潮の流れは別として) 漕いだ分を同じ労力で戻らなければならないけれど、
自転車は登った坂の分だけ、下りがある。
怠け者の自分にはやっぱり自転車が合っているのかななんて苦笑しながら坂道を下った。

時刻は夕方の5時を過ぎていたが、これだけでこの公園を去るのは惜しいと思い、公園入り口近くにあるショートトレイルをハイキング。
自転車帰りだったのでサンダル履き、ザックも無かったけれどフロントバッグを肩に下げて登った。一時間ほどで登れるお手軽コースだけれど勾配が案外きつかった。
トレイルの終点に来ると突然視界が開けて、眼下に湖と街が広がった。

あの湖の向こう側がアメリカだ。

夜は再びの土砂降りと雷で街が停電してしまった。

2011年7月24日日曜日

惨めな一日とウォータートンレイクス

Head smashed in buffalo jumpにて今後のルート確認をすると、この先の道はgravel(砂利道)だぞと受付のおっちゃんに教えてもらう。
ウオータートンレイクへ向かう人は、だいたいみんなここから引き返して、国道を通っていくとのことだ。
たしかにグーグルマップ上はこの先に道が続いているけれど、他の地図で見るとだいたいこの場所で地図が切れている。
砂利道を通って下手にパンクするよりは国道を通ったほうが計算がつくと思い、教えに従って来た道を引き返す。
約30キロの遠回りとなってしまった。
国道2号に戻り、すぐに3号線にぶつかる。
こういうジャンクション付近は大抵道が広く作られている。
2号線の終盤はやや道が狭かったのもあり、久しぶりに広い路肩を走れてスピードアップしようとした時、口にかなり大きい虫が突っ込んできた。
慌てて吐き出すと、自転車のバランスが崩れてしまい、路肩のフェンスにぶつかりそうになった。
ハンドルを切り返して衝突は避けれたものの今度は逆側にバランスを崩した。
脚を地面につけて踏ん張ろうとしたものの、右足がトゥクリップから抜けずそのまま転倒してしまった。
痛んでいる間もなく、すぐ後ろから大型トラックが迫ってきた。
右足がまだ抜けない。
僕は這うようにして体勢をかえて何とか大型トラックをやり過ごした。
もちろん、トラックの運転手も僕の転倒には気付いて僕を避けるように通ってくれたが、
迫り来る鉄の塊の迫力にしばらく脚の震えが止まらなかった。

転倒で右ひざを痛めたので、気分は落ち込みつつも自分で進まなければ何も解決しないので応急処置をして再出発。
外傷だけで骨や間接に痛みが出なかったのが救いだった。

3時くらいに目的地であるPincher Creekの街に着いた。
街の入り口でウォルマートがあったので入店。
意外とカナダでは初のウォルマートだ。
昨日から、サイクルメーターの電池が切れそうでボタン電池を売っているお店を探していたのだが、なかなか見つからず、ウォルマートなら売っているのではとの思ったのだ。
店員さんに聞いて、なんとか発見。が2つで12$と破格に高かった。
カナダではあまりボタン電池はメジャーではないのかもしれない。
他にもボタン電池に何か塗り薬のようなものを塗って電圧を復活させるキットのようなものも売っていた。
店内では電池だけのつもりが、さすが何でも売っているスーパーセンター。
色々と目移りしてしまい、さらに安い。いつも4$ぐらいしていたクッキーが2$で売っている!
他にもお買い得品が盛りだくさんで、またもや買い込んでしまった…
そして自転車の積載容量も超えてしまったのだった。

溢れた分の食べ物を胃袋に収納し、サイクルメーターの電池入れ替えと再設定をしているうちに時間は4時を回っていた。
今日の目的地には到着したのでもう今日は走行をやめても良かったが、ここからウォータートンレイクスのヴィレッジまで約55キロ。
頑張れば7時に着く。
一日に2つの世界遺産を走破するなんてことは、今後なかなか出来なそうなので思い切ってウォータートンを目指すことにした。

しかし街を出たとたんに東の空が真っ暗。
雨が降りそうだ。雷もなっている。
僕の目指す南の空は明るかったので、素早く南に移動すればやり過ごせるかと思い、そのまま進んだ。

僕のアテは見事に外れ、30分後には大雨の中にいた。
雨だけなら良いのだが、雷が凄い。
空気を震わせ振動が伝わってくる。

以前のアメリカ旅行でも激しいストームに遭い、生きた心地がしなかった。
もう二度と天気が悪そうな日は走らないと、そのとき固く誓ったはずだったが、また再びストームの中に僕はいた。
おそらくこの地域は、平原とロッキー山脈がぶつかるところで、暖かい空気と冷たい空気がぶつかりやすく、ストームが発生しやすいのではないか。

あたりに身を寄せれる建物もなく、僕は落ちるなよ~と祈りながら必死で南を目指した。
途中で、僕を見かけたトラックが止まってくれ、乗っていくか?と声を掛けてくれた。
しかし、彼の行き先と僕の行き先がちょっと外れる。
それでも、この雷雲地帯を抜けれるのであればと思い乗せてもらおうとしたが、僕の語学力不足で上手く伝わらず車は行ってしまった…。

こんなこともあり落ち込みつつも走ること一時間でなんとか雷雲を抜けた。
良かった、生きてると安堵していると急に体の力が抜けていった。
振り返れば地獄
ラピュタ!?

安心はしたものの、まだ30キロ程公園まで距離がある。
雨に打たれて少し体も火照っている。

予定通りさっきの街で走行を止めていれば、安そうなモーテルもたくさんあって雨もやり過ごせたのにななんて思った。
だいたいにおいて僕の行動は一か八かが多い。
それは仕事のときもそうで、たくさんの失敗をした。
仕事では上司や同僚たちが僕の失敗をフォローしてくれたが、今回は自分ひとりだ。
最低でも七か八かというくらいに安定した判断を出せないといつか絶対に大きな失敗をしてしまう。
5年前のストームであんなに固く誓ったのにななんて反省しながら、残りの30キロをどんよりした気持ちで漕いだ。

公園に着いたのは8時過ぎだった。
この街のホステルに泊まるつもりだったが、なぜがやっていなかった。
街の奥にキャンプ場もあるのだが、そうこうしているうちに再び雨脚が強まり、とてもテントを張っていられる状況ではなかったので気持ちのリフレッシュも兼ねてモーテルに泊まることにした。

2011年7月23日土曜日

進路変更 南へ

カルガリーにて東進を終え、いよいよ南へと進路を切り替える。


市内を抜けると再びすぐ平原が顔を出した。
昨日までのシティライフが嘘みたいだが、振り返るとカルガリーの街並が見える。
途中のナントンの街

ゆっくり走ること9時間程でclaresholmの街に到着。
この街に観光案内所があったのでふらっと立ち寄ってみた。
ここで、この先に行くウォータートンレイクス国立公園のパンフレットを入手。
さらにざっとだけれど北部アメリカも載った地図もゲットできた。
カナダでは大体観光案内所にはフリーのWi-Fiが付いているので、
グーグルマップでこの先の道を確認。
まだ5時なので次の街まで進めたが、案内所のおばさんにこの街のキャンプ場を紹介してもらった。
12$と大分、カルガリー・カナディアンロッキー国立公園群を離れて値段が落ち着いてきたことにホッとし、この街に今日はステイすることにする。
それと、アルバータ州の小さな街のキャンプ場の詳細まで事細かに載っている冊子も入手。
あとちょいでアルバータ州を抜けてしまうので無用の長物だったけれど、こういうのを早めに入手できていれば!!
たぶんブリティッシュコロンビア州版もあることだろう。


しかしまぁ、案内所で次の街の情報を入手して、ストアで食料を購入。キャンプ場やモーテルで疲れを癒す、まさにリアルRPGの世界だな、なんて思えてきておかしかった。

翌日、5時に起きて6時半に出発。
なぜこんなに早く起きたかというと今日はちょっと寄り道をするからだ。

今下っている国道2号から道を外れて15kmのところに
Head smashed in buffaro jumpという大昔にバッファローの追い落とし猟をした断崖があるのだ。
ここはあまり知られていないかもしれないが、世界遺産にも登録されている。
せっかく近くを通るし、寄って行こうと早起きしたのだ。
平原を走っていると、東の方に断崖が見える。
あそこだ。

10時オープンだったが、9時半くらいに到着。
さすが世界遺産、もうすでに会場待ちの人で賑わっていた。
彼らとおしゃべりをしながら会場を待ち、入場。

入るといきなり館内には断崖を模した高台にバッファローが佇んでいた。
中にはミニシアターもあり、そこで当時の追い落とし猟の再現ビデオが上映されていた。
猟はとても単純。
脚の早いインディアンの若者がバッファローの群れを引き連れ逃げて崖のギリギリで曲がる。
突然現れた崖に勢いを止めることの出来ないバッファローたちはそのまま頭から落下。
崖の下で待ち構えていたインディアンの仲間が最後にトドメを刺すというものだ。
これがその断崖

展示も充実しており、狩に使われた武器や伝統的住居であるティピーなども展示されていた。
一通り見終えると時刻は11時。
これから先、しばらく街はなさそうで、館内に小さなカフェが併設されていたので、昼前だったけれどそこで昼ご飯にすることにした。
メニューの中にはbuffalo slideというものがあった。5ドル。
こいつはバッファローの肉を使っているのか?
同じ値段でハンバーガーなどもあったが、聞くとバッファロー肉を使っているのはこれだけだというのでこいつを注文。
出てきたのは…

超小さいハンバーガーだった…

なんとも言えない悲しい気持ちで二口で平らげた。
何か今さらさらに注文する気も出なかったので、手持ちの食料で後は凌ごうとこの場をあとにした。

しかし今思えば、これがこれから続く惨めな一日の始まりだったのかもしれない。

2011年7月22日金曜日

カルガリアンライフその3

翌日は午後からの待ち合わせ。

午前中はモーテルで洗濯やネットをしながらのんびり過ごす。
移動のことを考えなくていい日は本当に気が楽だ。

午後になって、かずえさんに迎えに来てもらいおススメのベトナム料理屋さんへ。
春雨の麺料理みたいなものを注文したが、量が半端ない。
味は文句なしにうまいのだが、食べきれず。
もやしがおいしかった

実は午前中に、昨晩セーフウェイで買いすぎたマフィンやらポテトチップスやらを食べていたのも影響した。

しかし、甘いものは別腹とばかりに今度はアイスクリーム屋さんへ連れて行ってもらった。
中心部からは大分離れた場所に立地しているのだが、地元でも人気のアイスクリーム屋らしく
大勢のお客で賑わっていた。
大人たちが真剣にアイスクリームを選ぶ
味も何十種類もあり、どれも美味しそうでなかなか選び切れない。
チョコやバニラのベーシックなものから何とかレインボウみたいな明らかに体に害がありそうな発色をした味までさまざま。子供たちは舌を真っ青にして不気味な色のアイスをなめていた。
僕は迷いに迷った挙げ句、メープル味とチーズケーキ味にした。
というのもせっかくカナダに来たのに一度もメープルシロップを味わっていなかった。
ミニストアで買った小さなメープルシロップはカバンの中にあるのだが使う機会がまだない。
せめてアイスだけでもという気持ちで選んだ。

アイスクリーム屋さんではコーンを選ぶことが出来る。
普通のコーンやプラカップ、追加料金でワッフルやチョココーティングなど選ぶことが出来て楽しい。
僕はワッフルの固い食感が好きでいつもワッフルを頼む。

さて出てきたアイスクリームはこんなボリューム!!
でかい!!

いつもはきちんと計量して出すみたいだけれど、この日は特に混んでいたので店員も計量もせず大雑把に盛って出していた。
かずえさん曰く、それでも僕のアイスはいつもより相当でかいそうだ。
このボリュームだけあって普通に上から食べていくと下が溶け出してきてしまうので、上から下からまんべんなく食べていった。
ようやくお楽しみのワッフル層へ辿り着いたときには少々食傷気味だった。
同じ甘い系統のものを重ねてしまったので、片方をシャーベットなどのさっぱり系にすればよかったかな。
アイス屋の外壁

お腹がはち切れんばかりに膨れ上がった後は、公園へ散歩。
ボウ河が街の南北を隔てる公園へと連れて行ってもらった。
ここは地元民たちもサイクリングやバーベキューなど各々の過ごし方で楽しんでいた。

河辺に着くと、ある犬が、飼い主が河に投げ入れたボールを泳いでキャッチしにいくというトレーニングのようなことをしていたが、このボウ河はけっこうな急流。
犬は果敢にボールを取りに行き、だいぶ流されながらもなんとかボールをくわえて戻ってくるのだが飼い主は再びボールを河へ投げ入れる。
犬は行きたくない素振りを見せていたが、ご主人様の指令には背けず、再びトライ。
戻ってくるころには疲労困憊&凍えきっていた。
それでも鬼主人のスパルタは止まらず三度ボールを河へ。
さすがに犬も自分の生命の危機を感じ取ったらしく、ついに河へは飛び込まなくなった。
そしてボールは河をトコトコと流れていったのだった。
ちなみにこの飼い主のそばには奥さんと子供もいたのだが、とくにこのスパルタを止める様子もなかった。これは彼らにとってスタンダードなのか…?
カナディアンの恐るべき一面を見て呆気にとられてしまった。
これは別な犬。1m30cmくらいあった

ボウ河の対岸まで散歩した後は、車に戻って郊外へドライブ。


昨日の夜景とは、また少し違ったカルガリーの顔を見せてもらった。
ナイスな標識
昨日と違って気温も安定していた。相変わらず風はあったけれど、車での移動はあまり風の影響を考えなくていいから、ただ流れる風がとても気持ちいい。
満腹も手伝って少しウトウト…

夕食まで少し時間があったので同じくカルガリーに住むかずえさんの友人のお宅へお邪魔した。

みのるくんという、鍛え上げられたボディが自慢の彼は、日本にいた頃は二子玉川の学校へ通っていたそうだ。
二子玉川といえば、僕が東京へ住んでいた頃の隣町である。
東京へ越してきたた翌日に、多摩川沿いを散歩しながらニコタマ無印良品へ行ってカフェでフォーを食べ自転車を購入した。
それからもちょくちょくニコタマ無印へは足繁く通い、良品計画へ入社が決まってからは、アルバイトもここでさせてもらった。
大学2年の春休みは毎日13時間休みなく働いて、欲しかったプジョーのモペットを買ったのもこの街だ。
そんな街で青春時代を過ごした同士なので、すぐに話が噛み合った。
あそこの飲み屋は雰囲気がいいとか、あのラーメン屋によく行ったとか…

ここはカルガリーなのに日本の片隅のローカル話に盛り上がっているのがおかしかった。

話が盛り上がってくると、すっかりいい時間になってきたので夕食へ。
ステーキやアイス、夜景も満喫できたので、このシティライフの締めくくりは日本食でしょう!ということで日本食レストランへ。
その名も四季路。
店内はさほど広くはなかったが、たくさんのお客が日本食を楽しんでいた。

メニューも豊富で、気持ちは全部注文したいくらいだったが、迷いに迷って味噌ラーメンとから揚げを注文。
まず最初にから挙げと、みのるくんが頼んでくれたたこ焼きが登場。

レモンを絞って、ぱくりと一口。
…うまい、うますぎる。

まだ2週間とちょっとしか日本を離れていないのにも関わらず、この味に懐かしさを覚えた。
しかし感動している暇もなく、本命の味噌ラーメンが降臨。
完璧な味噌ラーメンであった。
ボリュームも申し分なし!

僕は元来、特に食へのこだわりが少ないほうだと思っていた(好き嫌いは別として)
だから、毎日ピザやハンバーガーでも飽きることなく、うまいなぁーと思いながら食べていたし、スーパーで購入するインスタントラーメンもなかなかいけるじゃんなんて思っていた。

でも、ここで食べた日本食は別格だった。
これまでのカナダでの食生活をひっくり返すほどの旨みが僕の体の中に染み渡った。

“あぁ、日本人でよかった”とは思わないけれど、20数年間慣れ親しんだ味というものは必然的に体が求めてしまうものなのか。

とまぁ大袈裟に書いてみたけれど、大満足で平らげてしまった。
美味しかったです!!
こうして僕のシティライフは最高の終焉を迎えることが出来た。
ほぼ、食ってばっかりという突っ込みはさておき…

見ず知らずの自転車旅行人を一時のシティボーイにしてくれてありがとうございました!!

2011年7月21日木曜日

カルガリアンライフその2

カルガリーでは友人に会う予定だった。
Rという同級生の女の子がカルガリーにワーキングホリデーで暮らしていた。

僕の生まれ故郷である福島県伊達郡飯野町(現福島市)は人口6,000人程度の小さな町であるが、
僕が中学生の頃は毎年夏休みに、中学2年生を対象に“町民の翼”といわれるオーストラリアへのホームステイ体験が催されていた。
大体10名前後が、参加できるこの企画に僕は抽選をくぐり抜け運よく参加することが出来た。
その時、一緒に参加したメンバーにRがいた。
Rとは旅行中のホームステイを終えて、全員が集合してシドニー観光をしていた際のホテルで大喧嘩になった。
正確には男子対女子といういかにも中学生らしい構図だけれど、その中でもそれぞれのリーダー格であった僕とRが中心となって喧嘩が始まった。理由は些細なことだったけれど、だんだんとエスカレートしだし、最後はその中の一人の女子に水を掛けられるという始末だった。
今となっては良い思い出だけれど、そのRと僕とが飯野町という小さな町から飛び出してカナダで会おうとしているのだから、世界は狭いと思わせるには十分な気がする。

もっとも結論からいうと僕の出発が遅れたせいで彼女はビザが切れ入れ違いで帰国してしまったのだけれど。

でも、彼女は僕がこの街をエンジョイ出来るようにとカルガリー在住の女の子を紹介してくれた。

さて、前置きが長くなりましたが、セーフウェイから戻った僕は宿で彼女と待ち合わせをしていたのだ。
泊まっていたモーテル

名前はかずえさん。
カルガリーに来てもう一年以上という。
元々語学が好きで、ちょうど良いタイミングでカナダで仕事が見つかりこちらに来た。

メールでやり取りはしていたものの、初対面。
少し緊張したが、彼女は素敵な笑顔で僕を迎えてくれ、ホッとする。

心強い援軍を得た僕は、これまで小汚い僕一人では入る勇気がなかったレストランへ連れていってもらうことにした。

そしてこれまた、一人では食べれなそうなステーキとワインをチョイス。
焼き加減が絶妙だった

スーパーで買うステーキ肉もおいしいけれど、さすがにレストランのステーキは別格だった。しかも地元のアルバータ牛とオカナゲン産のワイン。
日々の疲れも手伝って一杯ですっかり酔っ払ってしまった。
そんな僕を笑いながら『大丈夫??』と心配するかずえさん。

ステーキを堪能した後は、タピオカ入りジュースを出しているお店にも連れていってもらい、杏仁ジュースをオーダー。
杏仁の優しい甘みとタピオカの弾力ある歯ごたえがおいしい。

その後、かずえさんにカルガリーの夜景スポットに連れて行ってもらう。
さすが、カルガリー市民でないと辿り着けないような場所で、市内のビル群がまとめて見渡せる。
しかし、本日はとても風が強く、寒かった。夜になり一段と気温が下がったため凍える思いで夜景を見ていた。

しかし、こんな寒い中でもカナディアンたちは半袖。こういうのを見ると体の構造が僕らアジア人とはまったく違っているんじゃないのかと思ってしまう。短距離などの陸上競技で僕らがまったく彼らに敵わないのはこういうところから来ているんじゃないだろうか…。

一つ目の夜景を見た後、2つ目のポイントへ移動。こちらはカルガリーの住宅地の明かりがキラキラと輝いていた。
昼間、ダウンタウンに行ったときは人のまばらさに少し拍子抜けしたけど、この夜景の輝きを見ると、この光の数だけそれぞれの暮らしがあって、それぞれのストーリーを持って生きている。その全ては無理だけど、少しでも多くの人や暮らしを見ていきたいな と思った。

こんな気持ちにさせてくれた夜景も 、一人の自転車旅では出会えなかっただろう。ここに導いてくれた、R・かずえさんに本当に感謝だ。