2011年6月4日土曜日

安達太良山を行く

福島といえば温泉である。
松尾芭蕉も立ち寄ったとされる飯坂温泉を始め、土湯温泉、高湯温泉と福島市近郊だけでも
多くの温泉街が林立している。

福島県は会津地方、中通り、浜通りと大きく三つの地方に区分けされる。
白河~郡山~福島と続く国道4号線、東北自動車道、東北新幹線の幹線路が通っているのが中通りで、白虎隊で有名な会津地方とは東北地方を南北に貫く奥羽山脈によって隔てられている。
福島の山域は吾妻山、磐梯山、安達太良山と火山が多く、その恩恵が温泉というわけなのだ。

せっかく福島に来たなら、久しぶりに温泉に入ろうと思い、かつての記憶を辿ると、
安達太良山の中腹にくろがね小屋という山小屋があり、ここに温泉があるのを思い出した。
登山者しかいけない温泉なので隠れた名湯で密かに人気がある。
麓にある岳温泉のお湯もここから引いているのだ。

よし、決まった。
登って風呂入ろう。

目的も決めずに帰って来たので、当然満足いく装備は持ってきていなかったが、
こんなこともあろうかと、化繊のTシャツとウールのアンダー、レインウェアは持ってきていたのだ。
靴は街履きだけれど、注意して歩けば問題ないだろう。

というわけで車を走らせ、登山口のあるあだたら高原へ向かう。
麓の岳温泉街。昔泊まった宿は潰れていた…
緑のトンネルを抜ければ、目的地まであと少し

あだたら高原には車で40分程度とすぐ到着した。
遠くから聞こえるカッコウの鳴き声と、新緑の青々しさが初夏を感じさせる。
天候も僕がこっちに来てから一番良い。

早々に登山道に入る。
入山が割と遅い時間だったので、オーバーペース気味でズンズン進む。
最初の方は旧登山道と整備された新道が並走していて
旧道を進んだ僕は、一昨日の雨で水を含んだ地面に何度か足をとられそうになった。
途中で出会った二組のハイカーを追い越し、どんどんと歩を進める。

右にほんの少しだけ見える突起が、安達太良山最高峰である。その山容から別名乳首山という。みんなの大好物ですね。 

やがて樹林帯を抜けて、見通しの良いエリアに出た。
この頃になると、いい感じに体も火照ってきて、山から吹き抜ける風が体をクーリングしてくれて
とても気持ちが良い。

休憩を挟み、さらにペースが上がる。
水場で体を濡らすと気化熱で体が冷えて最高に気持ちよい
少しづつ、辺りから硫黄の匂いが流れてくる。目的地が近いことの知らせだ。



やがて今回の目的地であるくろがね小屋が見えてきた。

しかし、テンポ良く歩いてきた僕にとって今ここで足を止めてしまうのは何かもったいない気がした。
それよりも所々にある水場の水で体を濡らして風を浴びるほうが気持ちよく思えて
せっかく辿り着いたが結局スルーしてしまった。


くろがね小屋が見えてきた


くろがね小屋

硫黄が固まっている
くろがね小屋を過ぎると、景色は一変してガレ場へと出る。
森林限界が近いのか、木々も低木が目立つようになってきた。


源泉。有毒ガスが出るため立ち入り禁止


山頂まであと少し
30分程で稜線に出た。稜線の向こう側には別世界が広がっていた。
これぞ火山!といった感じの荒涼とした風景だ。
遮蔽物もないので風がビュンビュンと吹き、帽子が飛ばされないよう押さえながら歩く。
沼ノ平。こちらも立ち入り禁止 



沼ノ平の河口を横目に、乳首を目指す。
久々におっさんハイカーとすれ違ったが、余程誰にも会わなくて誰かと話したかったのか
『いやぁ不気味なくらい今日は誰もいないよー』
なんて言っていた。

確かに自分も予想より登山客は少なく感じたが、僕としてはこのくらいの静けさのほうが
色んな音が聴こえて来てよかった。

そして頂へ。
山頂の乳首部分は大きな岩の塊で、場所こそ狭いが眺望は素晴らしかった。
歩いてきたコースを望む
山頂の記念碑

帰路は薬師岳経由の別ルートで帰ることに。

途中、残雪の残る雪渓を越えるところがあり、足を滑らせないよう注意して渡った。


だそうです。
このほんとの空というのは高村光太郎の智恵子抄に出てくる一節で
東京で望郷に思いを馳せた妻智恵子(隣の安達町出身)がいった言葉だそうだ。

帰りは、行きほど変化が少なく淡々と降りて帰った。
途中にある、ゴンドラ駅は地震の影響か営業していなかった。

おつかれさまでした
今回のルート。携帯のGPSでログをとりながら歩いた。
家に帰る途中で、こないだ食べれなかったうわさのカツ亭(うまいトンカツ屋カツ亭に改名)に寄って
トンカツを食べた。
驚くほど肉が柔らかくうまいのだが、疲れた体にトンカツの油は酷だった。
もう少し、万全なときに来よう。
ロースカツ定食。仙台で食べ忘れた牛タンもつけた

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