2012年4月16日月曜日

南米走行1日目

さて、南米走行初日は約90㎞先のサンファンを目指す。

まずはここカルタヘナを出なくてはいけないが、これがまた難儀で
都市部にありがちなバスと車の激流トラフィックを抜けなければならない。
加えてコロンビアは2輪バイクもよく走っていて、その機動性を活かし
するすると渋滞を縫って走り抜けていく。
その縦横無尽っぷりのせいで、突然目の前に現れたり、真横を抜いていくもんだから
こちらはヒヤヒヤする。
いや縦横無尽っぷりはバイクだけじゃなかった。バスも交通ルールなんてあったもんじゃない。
この交通マナーのなさと交通量は過去最高レベルだ。

ふと、初めてラテンアメリカのメキシコに入ってすぐのファレスやチワワの街が思い出された。
鬼のようなトラフィックに疲れ果てる程、精神力を削られたものだが
あの時の自分はもうここにはおらず、こちらも負けじと隙間を縫うように走る。
多少はタフになってきたのかなと感じると同時に随分遠くまで来てしまったように思われた。
っつってもコロンビアも今んとこ基本的には中米と変わらないんだけどね。

で、この渋滞を加速させているのがこちらの道路工事。
s-DSC01184
目下、カルタヘナでは目抜き通りにメトロバスを通し、バス専用レーンを設けることで日頃の渋滞を緩和するための
道路工事を行なっているのだ。
そのため車線がせまくなり、それこそ従来の車線が消されて車線なし状態になっているので
それこそ車両はルールなんてお構いなし、我先にと素晴らしい運転を披露し技を競いあっている。

一部は工事が終わっているところもあり。
s-DSC01185
こういう中央にバス停が作られると一気に近代都市っぽくなるなぁ。
ただし。
s-DSC01186
上の写真は野球場やサッカー場などの大型施設が集約されているところなのだが、
ここもこれまでのバス停と同じような設計で作られている。
たぶん、このバス停のサイズじゃ競技終了後のお客さんたち一斉に集まっちゃって、道路に溢れて
また渋滞になっちゃうんじゃ…。
どっかにクッションになるところは…これから作るのかな。
いや、作らないだろうな。
まぁこの適当というか後先あんまり考えてない感じがやっぱりラテンだなぁ。

ちなみに完成予想図はこちら。
s-DSC01145
とここで、この道路工事が完了し、メトロバスが通ったあとのことを想像してみた。

市民の足はこれまでのチキンバスから、このメトロバスに取って代わり交通の便は向上され渋滞も緩和されるだろう。
従来通りチキンバスもその乗り降りの自由さ、値段の安さから完全になくなりはしないが、それでも追い出されるように
数は激減する。
その追い出されたチキンバスの従業員たちはどうなるのだろう?
もちろん、メトロバスに勤務する者もいるだろうが全員が全員そういうわけにもいかないだろう。
かといって彼らを救済するための仕事は代わりに用意されているのというのか?

片桐はいりの“グアテマラの弟”に書かれていた一節を思い出した。

グアテマラに住む人々はゴミ箱が目の前にあるにも関わらず、ところ構わず捨てる光景に筆者は疑問を感じていた。
それをグアテマラに住む筆者の弟に尋ねてみると、“それはきっとゴミ収集の人の仕事を取らないためじゃないかな”と返す。
合理性ばかりじゃ、分かりきれない部分がこの国にはあるんだよ。

と確かこのような内容のようなことが書いてあったと思う。

この一節は今のカルタヘナにも当てはまることじゃないんだろうか。
道路の完成により街としての合理性は高まるが、市民全体の幸福の分配はこれまでよりも偏り、
メトロバスの恩恵を受けるものと弾かれるものの差が出る。

未来のカルタヘナへと道路工事に邁進する光景を走ってみて
機能や合理化を進めることだけがひとつの真実じゃないように思えた。
まぁ、ちゃんと代わりの仕事が用意されてれば、もちろん合理的な街のほうが
きっといいはずなんだけどね。

そんな妄想を膨らましていること一時間。
ようやく市街地を抜けた。
郊外は、これまでの中米とあんまり変わらない風景。
ねっとりとした湿気に、仕事してるんだか怪しいげな裸の男。瑞々しい牧草地でのんびりする家畜…
改めて描き直す必要もないいつもの光景が目の前に繰り広げられていた。
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僕はといえば3週間振りの走行だったせいで、走り始めて早々に暑さにやられはじめ
60㎞を過ぎる頃には完全にバテバテ。
ちょっとした上り坂も漕げなくなるぐらい疲れはてていた。

暑さで消費する飲み物の量が半端じゃない。
それにしてもコロンビア飲み物代が高い!
ペットボトルなんかは1$以上するし、コスタリカより高いんじゃないかな。
リターナブル瓶なんかはコスタリカでも安かったのにこっちは少し安いぐらい。
走っている時の冷たい飲み物への衝動は尋常じゃないので
高くても買ってしまうのだけど。
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幸商店は短間隔で現れたので休憩を繰り返すことでなんとか2時頃目的地に到着できた。

到着した宿はお世辞にも清潔とは言い難い、狭い部屋だったがこんなもんかな。
ちなみにコロンビア、メキシコ北部によくあった便座なし便器がまた増えてきた。
うげー、これ嫌いなんだよなぁ。
これ見た瞬間で千年の便意も消えてしまうもの。

そうそう、人がいいで評判のコロンビアなんですが初日の今日にして早くもその予感が。

休憩時、アイスを買おうとするとこれがよく冷えていて形がいいからと奥底のアイスを取り出してくれた。
(停電があるからか、冷却設備が不完全なせいか分からないがたまに溶けてたり、
完全に溶けたものがぐちゃぐちゃに再氷結したものがあって棒の部分がアイスに埋もれてしまっている)

宿にしても、分かりきっている鍵の使い方を丁寧に教えてくれたり
エアコン付きの部屋にも関わらず、どこかから扇風機まで持ってきてくれた。
そもそも宿を訪ねたときから従業員総出で出迎えてくれた。

道行く人は親指をぐっと立てて笑顔で見送ってくれる。

メキシコなんかは人懐っこい陽気さでこちらも元気にさせられるってかんじなんだけど
コロンビア人は一生懸命な善意がめちゃめちゃ溢れてて、なんか温かい気持ちになる。

先に風景は変わらないっていったけど、あぁ南米にきたんだなぁ。

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