2012年7月12日木曜日

お湯を手に入れるのは案外むずかしい

インカの温泉を堪能した後は、再びアンデス山岳路を行く道を通って目指すはワスカラン山の麓のワラス。
手元の地図によると、途中から未舗装路になり、かなりのアップダウンを含むコース。
ワラスまでは530kmほど、山岳路を考えるとおよそ6日から7日程度になる。
そこまで、ここカハマルカが最後の都会になるので食料を買い揃えての出発となった。

カハマルカを出る道は、インカ温泉で数回通った道なので、迷うことなく郊外へ。
さっきまでの都会っつぷりが幻のような牧草地帯を再び走る。

すでにアンデス山中の奥深くに入っているので、取り立てて目立つ急峻な山は見当たらないが
四方を雄大なアンデスの山々に囲まれながら、高原を気持ちの良くサイクリングする。

時折、山を越えるためのつづら折れをぐねぐねと何度も折り返して登る。
相変わらず傾斜は控えめなので、全然苦しくない。
カーブを曲がるたびに、表情の変わる景色が待ち遠しく、ぐいぐいと登った。
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登った後は当然下り。
登りでかいた汗は高地の下りでは少し寒く、下りのたびに着ている服を脱ぎ着し、結構忙しい。
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60km先のサンマルコスにはお昼ごろに到着。
思ったよりも早めに到着したので、目標をさらに60km先のカハバンバに切り替え、早々に街を後にする。
山脈沿いの大きな街々は大体、盆地に作られるので、再び登り。
道は相変わらず、アスファルト。
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途中にあった看板によると、こんな山奥にある道にもJICAが関わっているようだった。
サンマルコスの先の峠を越えると、見通しのよい峠に出た。
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方角的にカハバンバは下の写真の山を越えた辺り。
距離的には、まぁ届く距離だけれど、道は驚くほど下方に向かってスイッチバックを繰り返していた。
つまり、下りた分は登らなければならない。
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下りに入ると自転車はぐんぐん加速し、ぐねぐねを繰り返すワインディングを滑るように進んでいった。
結局、900m程の下り。

そこからは川に沿って徐々に登る道。
見た目にはほぼ平坦に見えるが、高度計を見ると少しづつ標高を上げていく。
見た目と、実際に出ている自転車のスピード感のギャップは精神的にしんどく、既に80km程走った体には応えた。
そして100kmを越えたところでトドメの峠越え。

分かってはいたが、この峠越えはかなり大変だった。
体力はすっかりカラッカラ。
後ろから地元の少年2人に自転車で追い越される。
最後は久々に押しが入るほど疲れていた。
それもそうだ、朝7時過ぎからおよそ9時間ほど自転車に乗っているのだから。
それだけに峠の先に、とうやくカハバンバの標識を見つけた時の安堵感はたまらないものがあった。
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が、この看板はフェイクで、このあたりから住宅はちょろちょろと姿を見せ始めたものの、実際に街の本体にたどり着くまで5km以上走らされた。
大都市にはありがちなブービートラップがまさかこんな山奥の街にもあるとは思いもよらず、既にこの看板で気持が切れていたのでしんどかった。
日も暮れかけた頃にセントロのホテルに到着。
結局125km、2000m近いアップダウンを繰り返した体はヘトヘトで何か食い物をいれないとまるで力が出ない状態。
それと同時に、体がえらく冷えてしまっていてこれでは風邪を引いてしまいそう。
まず、さきにシャワーで体を温めてから、飯に行こうと思ったが肝心のシャワーの湯が出なかった。
そこは電気シャワーだったので、元のブレーカーが切れていると思い、ブレーカーを上げるも何故かそこのブレーカーが
すぐにOFFの位置に戻ってしまう。
助けを求めに、宿のレセプションのおっさんへ相談しに行き、たどたどしいスペイン語で状況を説明するも、
おっさんはパソコンのソリティアに夢中で、座ったまま“ブレーカーをあげるんだよ”としか言わない。
それで駄目だったからこうして、来てるんだよ!と伝えてようやくおっさんはパソコンから離れて来てくれた。

おっさんがブレーカーのスイッチを力いっぱい押し込むと、スイッチはようやくONに。
しばらくしたらお湯になるよといっておっさんに礼を言って、シャワーの準備をする。
素っ裸になってシャワーに行くと、水は冷たいままで、よく見ると再びブレーカーが落ちていた。

おっさん!

ちょっと呆れつつ、素っ裸でレセプションまで行く気にはならないので、何とか手持ちのゴムひもでスイッチの固定を試みる。
ONに固定した状態で再びシャワーの蛇口をひねる。

水はいつまでも水だった。

つまり結局のところ電気シャワーが壊れていたのだ。

いいようのない疲れが、からだの奥から吹き出したけれど、それで状況は変わらないので服を着て再びおっさんのところへ。

またもソリティアに夢中のおっさんをパソコンから引き剥がして部屋に連れて行き、状況を伝える。

「こりゃ壊れてるな」

…もうホントに疲れました。
宿の看板には星が2つついていたが、2つ星ホテルがこの有り様だから参ってしまう。

結局、シャワーだけ別な部屋のを使い、なんとかシャワー問題クリア。

すぐにレストランに駆け込み、ご飯をかきこんだらちょっとだけ、体力は戻ったけどそこから街歩きをする元気はありませんでした。
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