2012年7月19日木曜日

感想文 僕たちのバイシクル・ロード

こんにちは。

ペルーアンデス編真っ只中ですが、ブログのストックが尽きました。

もちろん続きは書きますが、ブログを書くのは案外体力を使うので、

その場凌ぎに最近見た映画の感想を載せたいと思います。

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遅ればせながら映画『僕たちのバイシクル・ロード』を見た。
iTunesでダウンロード販売が始まったので。

同じ自転車乗りから見ても、おいおいと突っ込みたくなる無鉄砲さにハラハラさせられつつも
無知だからこそ溢れ出るエネルギーが作品を通じて感じされる良い作品だった。

もっとも共感できるのは自転車乗りの人だけで、自転車に乗らない人が見たら
なにこれ?!と思うかもしれませんが 笑

彼らは南極大陸を含む7大陸走破をこの旅で達成している。
7大陸走破といってもアフリカや南極なんかは大陸の末端を走っただけだし、
総走行距離は僅か13000km。(きちんと各大陸を走破しようとなると50000kmを越える)
映像の半分が船上!?という突っ込みはご愛嬌。

走行中の映像は見ているこちらが酔っ払ってしまうほど手振れがひどかったが
逆に道路のガタつき加減が鮮明に伝わってくる。
画質もそれほど良くはないのだが、ここで重要なのは画質がどうであれ撮れているということ。
僕も動画を撮ることはあるが、気まぐれで数日に一度程度しか取らない。
動画を継続して撮ると、こんなにもリアリティのある旅を記録することができるのかと少し嫉妬さえ覚えてしまった。


作品中、印象に残ったのがタイで得体のしれない食べ物を道路脇の屋台で見つけ食べるシーン。
恐る恐る食べてみると、思いのほかウマイ。
自転車で旅している以上、腹は減る。
ガソリンとなる食事は現地飯に頼ることになる。

なるべく味の想像のつく食べ物をチョイスしていても
僻地を走っていると必ずや、こうして見た目から味の想像のつかない食べ物を食べることになる。

僕の経験上、味の好き嫌いや好みはあるとしても、人が食べるものなので
まったく食えない食い物っていうのは、なかなか出会う機会は少ない。
もっとも『やむを得ず食う』という食事がこの中南米いかに多いことか。
それでも毎度こうして初めてみる食べ物を喉に通す時は緊張する。
食ってみると、『ん?案外いけるぞ』となりいつしかそれがその国の定番の飯となる。
自転車で旅をするということは、こういうことなのかもしれない。

とはいえ、時折目にする馴染みのお店を見つけると、
田舎道の夜の自販機に群がる虫のごとく、ついつい吸い寄せられてしまう。
都市部で発見したセブンイレブンに羽が生えたように入店していく彼らの姿と
自分の姿を重ねてしまい、クスリと笑ってしまった。


7大陸の最後の地アフリカに降り立つ彼らの心境は“歓喜”とか“待望”とか
プラスなイメージの感情とは正反対のものであった。

旅が確実に終わる実感。
待ち受ける現実社会。
元の生活に戻れるのか?という不安。

ただ何も考えず、太陽の出ている限りペダルを踏む日々が終わる。
夢は必ず覚めるときが来るのだ。
どんなに目を背けていても向き合わなくてはいけないときが来る。

けれど、旅の終わりは決して『負』や『マイナス』ではない。
旅の終わりには、いつだって一時の叙情感がつきまとうもの。
ただ、それだけだ。

あらゆることに対し自己責任を持ち、自らで体験する。
これが自転車旅の醍醐味だ。
自分の体力を鑑みて今日の目標地を決める。
自分の財布と相談し、食事と宿を決める。

大きな轍を刻むためには
家族や友人、名も知らぬ人…多くの人の支えなしでは成し遂げられないということを
実体験をもって体感している、このことを知れるだけで大きな経験だ。

旅に出る前は想像もつかないような第三世界の混沌にいつの間にか馴染んでしまうように
難解で複雑な現実社会にも、いつしか何事もなかったようにすんなり元に戻ることが出来るだろう。
人の体はあらゆることに都合のいいように出来ているのだ。

僕の旅もいつか必ず終わりを迎える日が来る。
そのとき僕の心には、どんな景色が広がっているのだろうか。






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