2013年6月16日日曜日

腹痛アトラス越え道中

タイミングの悪いことにヘトヘトでベッドに倒れ込んだ夜には、持病から来る腹痛と悪寒に襲われた。
この半年以上、体の調子がよくて薬も一切飲んでいなかったのだが、ここにきて発病。
夜中は、たまに来る悪寒と吐き気のウェーブにひたすら堪える時間だった。
朝になっても一向に良くならず、結局10時頃までベッドにうずくまった。

なんとか出発の体裁を整え、自転車に跨る。
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登り坂で足に負荷がかかる分、腹痛が多少紛れる。
ここから登り一辺倒かと思ったらアップダウンのある谷沿いを行く道だった。
この道の峠が2,260mあると知っていたので、数字が思うように進まない高度計を見つつイライラ。
この山道にあって突然、現れるモロッカンがしつこく石を売ってきたり、
子供たちが500mくらい走って“お金頂戴”と追いかけてくるのにもだいぶ参った。
一人の子供は僕の荷物をすれ違いざまに取ろうとした。
体調が万全なら、笑い飛ばせるのだろうけど、この状況では精神的にも体力的にもかなりきつかった。
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時折、すれ違う人々が僕に”サヴァー?(大丈夫?)”と尋ねてくるが
言葉の持ち合わせのない僕は“サヴァー(元気だよ)”と答えることしか出来なかった。
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昼に寄ったレストランで頼んだタジンも数口手につけただけで、もう喉を通らず。
そこから本格的なつづら折れに再突入したのだけれど、苦しいとかつらいよりも
ひどくボーっとした感覚のまま、たらたらと登った。
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後で写真で見返すと素晴らしい山岳風景が広がっていたのが惜しまれる。
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峠には土産物屋や陶器屋、石屋がいくつか立ち並ぶちょっとした観光地だった。
少し飲み物でも飲んで一息入れたいところだったけれど、僕を見るやいなや“ミルダケミルダケ”と
声がかかる、この場所で落ち着いて休憩どころではなかった。
全くもってモロッコの商人たちの商魂たくましさには恐れ入ってしまう。
ただ言っておくと、モロッコ人に辟易しているわけではなく、
あくまで自分の体調の悪さで楽しめていないだけである。

体調が万全だったらここも楽しめたはず。

峠を越えた先にある分岐で下道に逸れた。
下道に入った途端に道はがたつきの目立つ1車線になり、交通量もぐっと減った。

その日はそこから8kmいったところにある宿にベッドを取った。
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翌日は1車線の下道を本格走行となったが、広がる景色は前日よりも素晴らしかった。
険しい谷を縫うような迫力のある道があったかと思えば、
ダイナミックに広がる渓谷にそって下る道。
不毛の大地に見えるこの地域も谷底に目をやると、川にそって緑が溢れている。
地図には載っていないが、実際には切れ間なく集落が続き、土壁の家々は主張するわけでもなく
あたりの景色と馴染んでいる。
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商魂たくましいモロッコ人は(たまたま会わなかっただけかも)ここにはおらず、
通りゆく僕を見るとはにかみながら手を振ってきたり、休憩中、地べたに座る僕に
そっとイスを差し出してくれたりした。

DSC02873_RDSCN0621_Rそんなさり気ないモロッコ人の気質を垣間見れたかと思えば、再び元の日常を取り戻す。
この道の途中にはアイト・ベン・ハッドゥと呼ばれる世界遺産に指定されるベルベル人の要塞都市があった。
そこのエリアに入るやいなや“ニホンジン?!”“チョットマッテ ホテルホテル!”といった声がかかってくる。
休憩していても絨毯売りがやってきたり、自転車交換しようと分けの分からん交渉をしてくる輩もいて疲れた。
遺跡観光も早々に切り上げ、30km先の都市ワルザザートへ自転車を走らせた。
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2013年6月14日金曜日

レベル1からの再出発

マラケシュ出発の朝の空模様は、晴れ予報にも関わらずどんよりとした曇り空。
ただでさえ、まだ気持ちが乗ってこない自転車走行の初っ端からやる気をそがれる空模様だけれど
炎天下の太陽の下を走るよりはいくらかマシかもしれない。
前日にパッキングした荷物を自転車に取り付けていると、リョウセイ・サトコさんも起きてきた。
程なくして、準備完了。
前日、出発したようこ&ひろペアの時と同じように宿の前で記念撮影をし、再会を約束し出発。
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メキシコシティで別れた時は、次はグアテマラあたりでなんて言っていて、
結局ここまでズレてしまってるので次に会えるのはどこになるか分からないが,
まぁ会えるときは、またすぐ会えるだろう。

二人の振る手を背に受けて細い路地を走りだした。
このまま、さっと走り出したら絵になるのだろうけど、角を曲がってすぐに現れるは階段状の路地。
そそくさと自転車を降りて持ち上げて渡る。
二人の見える場所じゃなくてよかったーと胸を撫で下ろしつつ、
昨日のようこ&ヒロもこんな風に見送りのあとここで自転車を降りてるんだなと想像すると笑えてくる。
自転車乗りは影でこんなシュールなことになっているのだ。

さて、マラケシュから郊外へ抜け、ワルザザート方面に抜ける道は
渋滞もけたたましいクラクションの嵐に巻き込まれるでもなくスムーズに流れた。
DSC02820_R標識。読めない。。。
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街中といえど、猛スピードで車が駆け抜けるブラジルからすると、それは雲泥の差。
路上の人々もメディナにいた人に比べるとだいぶ落ち着いた。
まぁ、モロッコ国民全員があのメディナにいる商人たちのようだったら、ちょっとうざすぎるよな。

しばらく走ってワルザザート方面へ抜ける分岐に差し掛かると、道は片側1車線の路肩なしになった。
交通量も多いと、事前に聞いていた道だったが、ドライバーもマナーが良く、
大きくはみ出して追い抜いてくれたり、ププッと後ろから軽く合図を出してくれたりした。

右手にアトラス山脈のシルエットが霞がかってぼんやりと見える。
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飛行機で上から見た時もそうだったが、山脈部だけが、この平野にドン!と居座っている。
このアトラス山系は東西に2400kmの全長を持ち、
この山が北側の肥沃な大地と南の乾燥した砂漠地帯を分かつ隔壁になっているそうだが
これを見るとなるほど納得と思える盛り上がりを見せている。
これを今から越えていくわけですが…。

戦の前に、腹ごしらえってことで街道沿いのレストランで腹ごしらえ。
レストランはタジン一択のみ。
日本人にはどこか馴染みのある味付けだから、まずくはないんだけど、
この先もこればかりだったらちょっと飽きるよなーと早くも少し心配になる。
DSCN0543_Rそこから一気に山岳地帯へと突入し、標高を稼いでいく。
山岳風景とは程遠い緑が生い茂る大地は、どこかコロンビアアンデスを思い出させる。
しかし、よく見るとその緑を演出しているのはウチワサボテンだったり、ナツメヤシだったりと
ここがもう南米では無いことを今更ながら再び僕に突きつけてくる。
DSCN0546_RDSC02836_Rまだ緑の多い景色とは裏腹に道はしっかりぐいぐいとつづらに折れて標高を稼いでいく。
見た目にも体感的にも傾斜はきつくはない。
が、なぜかスピードが思うように上がらなかった。
息の乱れも、僕がイメージする南米を走っていた頃の自分とは大きく異なっている。
終いには、50kmほど走ったところで、太ももがピリッと攣ってしまった。
まだ標高も1000mちょっと。
マラケシュが450mほどなので600mぐyらいしか上っていない。
なんという体たらくっぷり。

パタゴニアを走り終えて約40日。
その間、パラグアイを少し走ったりもしたが基本的にはほとんど運動らしい運動をせずにいた。
おまけにアルゼンチンでは毎食肉を400g~500gと米をたらふく食べていたので、
体が重くなるのは自明の理なのだ。

イメージと現実のギャップというものは残酷だ。
一度出来上がった自分のチャリダーとしての自信が走行1日目にして粉々に打ち砕かれた。

攣った両足で息も絶え絶えに自転車を押していた。

休憩に入ったカフェでは、店員のモロッカンが釣りをごまかそうとして
あからさまに気まずそうな顔で僕にちょろまかしたお釣りを渡してきたのだが
それを指摘する体力も残っていなかった。

マラケシュを出る朝は、今日はどこかでキャンプでもいいかなと思っていたのだが
この頃にはホテル!ホテル!!何が何でも今日はベッドで寝る!!!
という気持ちだった。
走行時間5時間、約70km走った坂の途中で何とかホテルを見つけ、
崩れ落ちるように流れこむ。
もはや値段も、宿の質もどうでもよかった。

ただただ僕はハゲシク疲れてしまったのだ。

午後4時半、就寝。。。
DSC02839_Rこの辺りは見晴らしの良い崖側に突き出た家やカフェが多い。
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2013年6月12日水曜日

初ものづくしのアラブ世界

マラケシュのスークはまるで迷路のよう。
割と方向感覚に自信のある僕だったが、あっという間に迷子になった。
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歩く旅に四方から『ミルダケタダ』なんて胡散臭い日本語が聞こえてくる。
モロッコ人はウザいと旅行者の間では評判なのだが、今のところそのウザさも楽しい。
誰か僕に絡んでこないかな?スークの奥へ奥へと、わざと迷いに行く感覚が新鮮だった。
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コーラもアラビア文字です。
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モロッコ人の商売人気質は世界有数だ。
ある時、街の外れにある皮なめし工場へ流れ着いた。
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200円ほどで工場見学が出来るというので、入ってみるとひと通り見学を終え、
出口に向かうと出口には待ってましたとお買い物コーナーが待ち構えている。
そこの親父もなかなかの曲者で、表情豊かに買ってくれと訴えかけてくるのが憎めない。
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モロッコには定価という概念がほとんどない。
だからモノを買うときはいつも交渉が必要だ。
たいてい、相場の10倍くらいの値段でふっかけてくるので、粘り強く交渉が必要になる。
だから買いたいモノの相場を知ってないと痛い目を見る。

皮なめし工場で、散々値段交渉をしてカバンを一つ買ったのだが、
あとで他の商店の親父に聞いたら、それでも相場より高い値段だと言うことを知った。

スークの奥にあるベン・ユーセフ神学校。
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幾何学模様のタイルと凝った意匠の彫刻が素晴らしい。
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マラケシュの中心、フナ広場を見下ろせるレストランから。
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夕暮れ時、屋台がどんどん出来上がっていく。
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広場に下りるとそこはお祭り騒ぎ。
屋台の客引きや、蛇使い、行商人たちあらゆる人たちで溢れかえっている。
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これは竿の先につけた輪っかでペットボトルをすくい上げるゲーム。
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簡単なようでかなり難しい。
そして、ゲームへの参加料金は普通にペットボトルを買うのと同じ料金というところがモロッコらしい。

ようこさん、ひろさんは一足先に旅立って行った。
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さて、僕もそろそろ走り出しますかね~。

2013年6月10日月曜日

路地裏の再会

ようこさん、ひろさんに連れて行ってもらったレストランはモロッコ版商店街とも言える
スークの入り口近くにあり、そこで羊の煮込みとタジンを食べた。

こいつがウマいんだよねーと右手で食べだす二人を見て一瞬たじろいだ。
そうだ、ここはイスラム国家だった。
食事はカトラリーはあまり使わず右手とパンをうまく使って食べるのがこの国のスタイルだ。
僕も試しにやってみたのだが、慣れない手つきのため、すぐに手がベチャベチャになった。
慌てて紙ナプキンで汚れを取ろうとしたら、
手の汚れを拭き取るには不向きな固く、吸水性の悪い紙ナプキンの手触りにこれまたたじろいだ。
紙ナプキンというよりは、ただの紙そのもの。
やっぱりここはモロッコなんだとその手触りから思い直す。

食事をしつつ互いの旅談義を囲み、お腹を満たしホテルへ戻る帰り道。
モロッコに来て僕が迷いに迷った裏路地に入ると、前方の角から一人の女性が歩いてきた。
その出で立ちから日本人かなと思い、それ違いざまに顔を見るとびっくり。

サトコさんじゃないですか!

その女性は一年半前にメキシコシティで出会った鈴木夫婦の奥さんだった。
旦那さんのリョウセイさんは世界各地で美麗な映像を撮影していて、
サトコさんは各所でヨガをしているユニークな旅を続けている二人。

モロッコに行くというのは、お互いにインターネットを通じて知っていて、
どこかで会えるといいねと言っていたのだが、細かい待ち合わせもしていないし、
そもそも僕は今さっきモロッコについたのだ。
旦那さんのリョウセイさんは今、映像の編集で部屋にいるとのことで
サトコさんが散歩に出かけた所で僕らとバッタリ会ったのだった。
聞けば二人も昨日マラケシュに着いたそう。

『え、ちなみにどこ泊まってますか?』
「ホテルイムーザだよ」

二度びっくり。
ホテルまで僕らと一緒だった。

サトコさんも宿に引き返して、宿でリョウセイさんとも再会を果たす。
思えば彼らの旅の初日に僕は出会っていて、
そのとき彼らは『こんな映像取りたいんだよねー』なんてこれからの構想を言っていて
僕は僕で『南米最南端を目指してるんです』と互いの野望を語ったものだった。
一年半の歳月を経て、あのとき互いに語っていた夢を実現しているのだから
ある種モロッコでの再会は、生き別れになった戦友と再会した時の気持ちのようだった。

いやはやモロッコも序盤から面白く転がってきたなぁ。

あ、リョウセイさん、サトコさん、今晩は羊の脳みそでも食べに行きましょ~。
カタツムリもあるみたいですよー。

モロッコ珍味部、現在部員5名となりました。

そんなリョウセイ・サトコの素敵なHPはコチラ
超絶美麗なムービーに心奪われること請け合いです。
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