2012年4月21日土曜日

続く山岳道中 雨に打たれて

現在地ヤルマルは標高2100mに位置する街。
ここからコロンビア第2の都市メデジンまでは約110km。
地図にはヤルマルから下りに転じて標高1300mのメデジンに至ると記されている。
だがしかし少し懸念事項があった。

この地図…

めちゃくちゃ精度が悪い!!

だってアンデスの上りはタラサって街から始まるって書いてあるのに
実際に登りはじめたのはそこから40kmも離れたところだったし、
昨日にしても最高地点が2200mのはずが2400mまで上ったしで
この地図を丸々鵜呑みにするとちょっと危険だ。

そしてコロンビアに入って標識の距離表示も少し変わった。
今までは大体距離表示は街のセントロまでの距離、もしくは大きな分岐点までの距離を示していたのだが
コロンビアの距離表示は“街の入口”までの距離。
これのどこが問題かというと、小さな街であればさして問題にならないのだろうが
メデジンは都市圏人口200万人を越える大都市。
街の規模もでかく、交通量も増加する。
加えて道に迷うことも考えられる。
となると街の入口から街の繁華街まで1時間以上走る可能性も高く
夕方に到着するつもりが、日が暮れてしまうなんてことも起こり得る。

というわけで、ちょっと地図が信用出来ないので情報収集をするため
ヤルマルにはもう一泊した。天気も少し悪いし。

殺人的傾斜。
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実際見るとほんとすごいのよ。
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標高が高いとさすがに寒い。
昨日まで暑い暑い言ってたのに。

今までの中米のほとんどは蒸し暑いところばかりで
日本人の冬の季節感とは全く真逆の季節を送っていた。
ここのヤルマルの朝は吸い込む空気がいくらかひんやりしていた。
ちょうど日本の4月になってもなかなか暖かくならないというニュースを目にしていて
気温的には似たようなもんなのかなと思うと
少しだけ季節感が日本に近づいたようで嬉しかった。
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こちらの屋台の串焼きは大体パンとジャガイモ付き。
ボリューム十分で100円くらい。
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なんてことなく一日を過ごし…

出発!!
うぉっ!天気いい!!
一日待った甲斐があった。
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予想どおり道は一度1900mまで下ったものの再びの上り。
傾斜は麓に比べれば穏やかで丘陵地帯をゆっくり上っていく。
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次の街に着く頃には2700mまであがった。

地図いい加減すぎ 笑

途中の街では何か催しものが開かれていた。
とここで気付いた。

セマナサンタか!

セマナサンタ(聖週間)とはキリスト教の伝統行事で
毎年「春分の日から数え、最初の満月の次の日曜日」というややこしい日程で行われる。
ちょうど今日は聖金曜日でキリストが十字架に張り付けられ亡くなった日。

子供たちは仮装をし、大人たちはキリストの像を抱えて街の集会所のようなところに集結していた。
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ここで行事をちょっと持ていくのもおもしろいかなと思ったが
少し天候が曇ってきたので先を急ぐことに。

そこからは若干高度を下げるもののアップダウンの繰り返し。
なかなか下りがこない。

雲が出てきた…
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と思ったらあっという間に雨に捕まる。
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雨仕様に着替えて走りだす。
考えてみればまともに雨の中を走ったのは
メキシコのグアナファト以来半年ぶり。
ずっと乾季(コロンビアは今の時期雨季)を走ってきたのもあるけど晴れ男過ぎる 笑

にしてもやっぱり雨の走行は大変だ。
泥汚れ、油汚れに加えて発汗による蒸れ、体温の低下などなどいいことがない。

しばらく我慢して走っていたが、雨足が強くなってきたのでちょうどよい小屋を発見し非難。
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30分ほど雨宿りをすると、幾分雨も弱くなってきたので再出発。
走りだしてすぐに綺麗なホテルが見えたので、いっそここでストップしようかと思ったが通過。
またしばらく緩い上り坂を上っていると一台のオートバイが僕に声を掛けてきた。

『雨がひどいから僕の家で休んでいきなよ』

まさかの展開。

どうしよう。たぶん悪そうな人ではないし…
でもこんなビショビショ、ドロドロだから今日はホテルで温かいシャワーと清掃したいしな…

「どのくらいのとこにおうちはあるんですか?」

『3km先だよ。』

う、この雨のなか登ってきた3kmを戻るのか…
ここは申し訳ないが…

「ありがとう、でも今日はメデジンまで行きたいんです」

あぁ、好意的な申し出を…

『そうか、じゃあお金を…』

と財布をゴソゴソ。
僕は慌てて
「いらないです、たくさん持ってますから」

ビックリした。
雨の中走ってる姿はそりゃ大変そうに見えたのだと思うけど
お金まで渡そうとするとは…
相手は謎のアジア人でっせ。

話を聞くとおじさんは昔自転車でコロンビア一周をしたそうで
自転車乗りにはいつでもWelcomeだって言っていた。

断った後も、どうしようやっぱりと心が揺れた。
おじさんもずっとニコニコしている。

「でも、やっぱり行きます」

あぁ後悔満点のお別れになってしまった…

おじさんと別れた後も悶々とさっきのことを考えていた。

世界中の素の暮らしが見たかったんじゃなかった?
まさに絶好の機会が巡ってきたんじゃなかった?

そんな旅の動機よりも雨に打たれて快適な居住環境の方を優先してしまった自分が情けなく感じた。

しばらくするとようやく下りに。

雨も小ぶりになり眼下には雲が流れる。
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すごい。
雨の中走ってきたご褒美かな。
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雨上がりにしか見ることのできないアンデスの雄大な景色が
少しだけさっきのおじさんの誘いを断ったことを紛らわしてくれたように思う。
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もっともいざここを下ると、雨でブレーキの利きが悪くおまけにガスっていて視界がひらけず
かなり精神力を使う下りだった。
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下界が見えてきた。
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平地に降りてくるといくらか気温も暖かくなり、道も3車線で広々。
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メデジンまであと20kmほど。
だがここからが大変だった。

平地に見える道は実際はゆるやかな上りで見た目以上にスピードが出ない。
おまけに再び雨に捕まり、都市が近づくにつれ増える交通のおかげでさらに泥まみれ。

都市圏に入ると冒頭で懸念したとおり、やはりセントロまで10kmほど走ることになった。
しかし、このメデジン…

大都会!!
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ヤルマルのように民家が山に張り付くようにびっしり。
規模はヤルマルの何万倍とある。
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たぶん山の上に行けば行くほど貧民街になってるんだと思う。

これぞ南米っぽい街のイメージ。

これまではずっと低地を走ってきたこともあり、陸続きで続いている中米とあまり変わり映えのしない
風景が続いていただけに、このメデジンの景色には自分が南米にいるということを強く感じさせられた。
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2 件のコメント:

  1. いとーくん

    キトの宿で会ったしょうです。
    昨日一昨日でヤルマルに行って来たよー!!
    確かに坂がハンパなかったけど、山の中の落ち着いた街で雰囲気もよかったなv

    ヤルマル以北の景色もイピアレスーパストに負けないくらいよかったけど、あそこの登りはかなりきつそうだね。よく頑張りましたvv

    山登ったり綱を渡ったり(?)、楽しく過ごしているようで何より。引き続きよいたびを!

    ナイス情報さんくすでしたvv

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    1. しょうさん!!

      ホントにヤルマルに寄ってくれたんですね。
      バックパックじゃ、なかなかあそこに行く旅人はいないと思うので
      行ってくれたことが自分の事のように嬉しいです!
      たぶん、僕の人生であそこに行くことは、もうないと思いますけど
      しょうさんみたいに話に聞いてヤルマルを訪ねる旅人が増えるといいなぁー。

      あの街を抜けたってことはいよいよカルタヘナですか?
      中米も通るんですっけ?
      中米もおもしろいとこが豊富ですので楽しんでくださいね!

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