塩湖の朝は氷点下。
当然ながら寒い。
朝焼けを横目に見ながらさくっとテントを畳み終えて出発。
澄み渡る空に果てない地平。
今日も景色は最高だ。
が、引き続きスピードは出ない。
ところどころにこういう穴が空いている。
ここが分厚い塩の岩盤の上ということが分かる。
4時間ほどかけて塩湖中央部のインカワシの島に到着。
この島はウユニの街からのツアーも寄るところなので各種食料の補給も可能だった。
おばあさんが営業する雑貨屋でお菓子とコーラを買うと、おばあさんがちょっと待ってろと奥からノートを持ってやってきた。
渡されたそのノートは、ウユニを走ったサイクリストたちのゲストブックだった。
もっともゲストブックと言うよりは、おれはこんなすごい旅をしてんだぜ!というようなサイクリストそれぞれの
自慢帳のようなもので、1ページ1ページみんなの我が現れていて見ていて面白かった。
せっかくなので僕もそれに記帳することに。
ところが僕の前に書いたサイクリストが一番の自慢ヤローで世界各国で撮った
自分の写真をたくさん張り付けていたものだから、ページに厚みが出来てしまい非常に書きにくい。
しかも裏面まであった。。。。
ペンでぶすぶすとノートに穴を空けつつもなんとか僕も書き終える。
これで僕も奴ら変態チャリダーの仲間入りだ。
一昨日の、砂山越えにあった自転車の轍の人もここに足あとを残したのかな。
売店で簡単な補給をして出発。
するも、自転車に妙な違和感を感じて下車。
調べてみるとキャリアのねじが取れていた。
もともとこの部分はコスタリカ辺りからネジ穴が馬鹿になってきていて、これまでも騙し騙し使っていた部分。
これまでのあの悪路でよくここまで持ったと言ったほうが正しい言い方だろう。
スペアのねじを出して、接着剤で無理やり取り付ける。
念のため針金でさらに補強をかけた。
キャリアの故障で残りの塩湖走行に不安がよぎったが
インカワシ以東の轍は広く、固く踏み固められていて完全にフラットな道だった。
この辺はツアーのメインストリートだからだろう。
打って変わって軽快にスピードをあげれる道になったが、白い大地にうっすら黒ずんだ轍が残念である。
とは言うもののこの地を思うがままにかっとばせる爽快感はこの上なくたまらない。
人間現金なものである。
走っていると自然に笑いがこみ上げてくる。
昨日同様、進んでいる感は全くないのに、足元をみると高速で塩のひび割れが流れていく。
浮遊感はさらに強調されて、このスピードならこのまま空に向かって飛べるんじゃあないかと錯覚するほどだった。
遥か遠くにツアー客が見える。
わざとらしく、彼らの近くまで寄って猛スピードで駆け抜けてみた。
彼らはツアーで限られたポイントでしか止まれないが、自転車ならどこでだって止まれる。
どこでテントを張ったっていい。
すべて僕の気分次第だ。
自由だ。
と思った。
360度見渡す限りの白の地平を自分の思い通りに走れる。
誰もいない、何もない大地に佇んでいるとまるで世界のすべてが自分のもののように思えてきた。
来れてよかった。
再び笑いがこみ上げてきた。
まるでこの世界の王様になったような気分だ。
遠くにうっすらと塩のホテルの影が見えてきたあたりでテントを張った。
しばらくすると遥か遠くにもとみ君らしき影も。
なんとか身振り手振りで呼び止める。
夕暮れ時、食事の準備をする。
メニューは塩湖の塩を使った塩湖ラーメン。
これをやるのがずっと昔からの夢だった。
出汁と、しょうゆ、胡椒、ラー油でスープを作る。
塩が活きるようにあえて薄味で作った。
そこに塩湖の塩をかき集めて投入。
食す。
…うますぎる。
いや、シチュエーション抜きでこれはうまい。
隣で塩湖雑炊を作っていたモトミくんにも食べさせたが、
これは完全に塩湖ラーメンの勝利だと思う。
忘れられない味がまた一つ出来た。
塩も採集。
そのあとは各々ひたすら撮影タイム。
刻一刻と表情を変える大地の色彩にずっと“ほあ~”とか“はぁー”とかマヌケな声しか出てこない二人だった。
おまけ。
ウユニ塩湖と言えば、僕が長年勤めてきた会社に非常に縁がある場所で
ここで僕なりのオマージュということでこんな写真を撮ってみた。
元ネタが分かる方、どうでしょうか?
分からない方は、“無印”“ウユニ”でぐぐって見てください。
感想お待ちしております。
0 件のコメント:
コメントを投稿