2013年4月29日月曜日

言霊に導かれし最果ての地

南米最後のキャンプから一夜明け、僕はゆっくり長く下る坂道を下っていた。
その先の森の隙間に大きな広がりを捉えた。

海だ。

森の隙間から覗いたものは海だった。
ビーグル水道と呼ばれるフエゴ島とナバリノ島を隔てる海峡が見えたのだ。

そして海の見えるカーブの先にさらに大きな驚きが突然やってきた。
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この1年8ヶ月、目指しつづけたウシュアイアの文字をかたどったゲートが待ち構えていた。

ウシュアイア。

どれほどこの言葉に思い焦がれてきたことだろうか。
思えばカナダを出た当初、ウシュアイアに行くんだなんて言っても、キョトンとした顔を浮かべる人がほとんどだったし、言っている自分だって半信半疑だった気がする。
でも何度も何度も言葉にすることで、いつしか言葉に力が宿り、
それが言霊となって僕をここまで導いてくれた。

夢にまで描いた場所までいよいよ僕はやってきたのだ。

ウシュアイアとの思いがけない出会いには、呆気に取られたが、
ゲートの前にしばし立っていると沸々とこの地にやってきた感慨が湧き出しやがて溢れそうになった。

こぼれそうになった涙をギリギリで抑えこみ自分に言い聞かす。
まだだ、まだ。本当の道の終わりはもう少し先だ。
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ゲートをくぐり市内に入ると、突然都会的な景観が広がった。
ほんのつい5分前までとは別世界。
そこは最果てとは程遠い空気のごく普通の街並みに見えた。

時刻は7時過ぎ。
まだ眠りから明けて間もない街をパスし、僕は国道の終わりラパタイアへと走り出した。

前日に降った雨が地面を濡らし、そこに朝日がまばゆい光を落とす。
照り返された地面は激しく輝き、光の道を作り出した。
この光の道の先が世界の果てだ。
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さぁ、ラパタイアへ。

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