2012年6月24日日曜日

エクアドルアンデス最後の峠

せっかく苦労して山に戻ってきたのに、今日は再びこの山岳世界とお別れをしなければならない。
山岳世界のお別れとともに今日はエクアドル最後の日。
この山を下った先がペルー国境だ。

国境のマカラまでは100km。
マカラの標高が400mそこそこなので、ここ1900mのカタコチャから下りとなるので普通だったら午後一で着く計算なのだが、このあたりのパンアメリカンハイウェイが未舗装なのでどうなることか…。

ホテルを出ると外は快晴。
本日も頑張りましょう!
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意気込んで街を出るといきなり猛烈な下り。
例によって未舗装なのでブレーキをかけながら全く無駄な標高エネルギーを放出。

と,坂の途中、素晴らしい景色に出くわした。
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見渡す限り続く雲。
昨夜、下りてきた雲が谷底の盆地に溜まって見事な雲海を形成していた。
ありきたりだがまるで、この上を歩いていけるんではないかと錯覚するほど密度の濃い雲海が眼下に広がっていた。
この雲の先はペルー。
しばらくこの雲に時間を忘れてしまうほど、見とれてしまう。
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自転車でしか訪れることの出来ない街で、天気、季節、時間など色んな要素が重なってしか見ることのできない景色に出会え、やっぱり自転車はたまらないなと改めて思う。

ただし、再び自転車に跨りボコボコの坂を下るとその、甘美な気持ちはすっかり消えてしまう。
そしてこう思う。
自転車ってなんて場当たり的な乗り物なんだ。。。

楽しくない下りはあっという間に位置エネルギーを放出し終え600mまで下りてきていた。
進んだ距離、わずかに10km。

あれだけ時間と苦労をかけて上った山道の顛末がこれである。

これで結局残りの90kmは自力で進まなければならない。

ここからは暑さと未舗装の戦いだった。
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おまけに無駄なアップダウンの復活。
あっという間にバテバテ。
昨日の坂を苦にしない自分はどこへ行ってしまったんだ?

幸いにも山から流れてくる湧き水が豊富だったので、時たま水をかぶって休憩しつつ前進。

この辺りは目下舗装工事中らしく特に道が悪かった。
水の差し入れをもらった作業員たち。
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しばらく進むと、舗装工事を終えた道路が登場。しかも下り。
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絶景を眺めながら、悠々と下る。やっぱり下りはこうでなくちゃ。
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そんな舗装路との蜜月は長くは続かない。
お昼休憩をした分岐のレストランから少し進んだところで出会ったアルゼンチン人のバイカー、ルイスは言った。
“10km行くと道が悪くなるぜ”
まじですか…
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彼の言った通り、ちょうど10km先から道はこれまでの調子を取り戻した。
おまけに上り。
ここがエクアドルアンデス最後の峠になるのだが、最後にして今までで一番傾斜がきつかった気がする。
1200mそこそこの峠のはずなのに、随分遠くまで道が続いているのが見えるものだから、滅入ってしまう。
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上りの途中、考えていたことは本当にこの山を越えたら平地になるのだろうか?ということ。
とても今の周りの風景からして、この先が平地になるとは思えない。
そして、最後にこの山道を作ったエクアドル国土交通省をひたすらに呪っていた。

獲得標高こそ昨日より小さいもののキツさで言えば断然今日のほうがきつかった。

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ふらふらで峠手前の村にたどり着き、コーラ補給をしたあと少々の上りを進むと、山を巻くような道路に出た。
下りが近い。
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右手に今日の道程を眺めながら進むと、下りは突然やってきた。
長きに渡るエクアドルアンデス終焉の瞬間だ。
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最後の下り坂も当然の如く悪路の急傾斜で全く景色を楽しむ余韻もなく、ただただブレーキを握る握力との戦いだった。
やがて傾斜も緩くなり、遠目にマカラの街が見えた時は本当に嬉しかった。

マカラの街は今朝いた高原のカタコチャとは全く異なり、いかにも中南米然とした雑然とした建物が立ち並ぶ街だった。
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最初、セントロらしい場所が見当たらず、疲れていたのでフラフラしていて目に入った一軒目のホテルで即決。
どこか締まりのないと街並みとは裏腹に決めたホテルは広く綺麗だった。
しかも朝食付でこの低地にあってしっかりシャワーのお湯が出て900円。
やっぱりエクアドルのホテルのレベルは高い。
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ホテルのおじさんにセントロの場所を教えてもらい、散歩に出かけたがこれといって面白みにかける街だったので早々に部屋に戻って、明日の下調べをすることにした。

部屋に戻ってみてビックリしたのがコウロギが数匹部屋にいたこと。
ギョッとして慌てて退治。
一階の通路に面した部屋だったのでどこからか紛れ込んだのかな?と思い部屋から追い出す。
それでも再びコウロギの影が視界にチラついたのでどこか開いてるのかなと、部屋のカーテンを開けるとそこにおびただしい数のコオロギが密集していたので、速攻見なかったことに。
あまり飛び跳ねるタイプのコオロギではなかったのが唯一の救いで、この広くて快適な部屋にあって結局ベッドの上だけが僕の聖域となったのだった。
(翌朝、僕のバッグには10匹以上コオロギがたかっていました…)

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