2012年8月20日月曜日

サンタクルストレック 1日目

サンタクルストレックの朝。
食料や装備は万全。
ただ肝心の入園チケットの確保が微妙ということであまり目覚めのいい朝というわけにはいかず。
トレッキングに不必要な荷物を宿に預かってもらい、一応出発。
町外れのコレクティーボでまず1時間半ほど離れたカラスの街へ。
コレクティーボ乗り場まで来れば同じようなソロトレッカーの姿があるかな?と思ったが一人もいない。
やはり、ツアーかガイドをつけないといけないのだろうか。
不安は払拭されないまま地元民と僕を乗せたバンはカラスへ。

ここからさらにコレクティーボに乗り換えとなるが、起点となるカシャパンパ行きの乗り場はこことはまた別な場所らしく
わざわざ探すのも億劫だったこと、声を掛けてきたタクシーの料金が案外安かったのでタクシーでそのまま直行してもらうことに。
カラスからは未舗装の山道をぐんぐんと登って行く。
これは窮屈で揺れるバンよりタクシーでよかったなと一安心。
そのタクシーのダッシュボードには合皮のダッシュボードカバーがかけられていたのだが、これが微妙にきっちり固定されておらず、ダートの振動ですぐにずり落ちてくる。
それを運転手のおっちゃんが片手でカバーを元の位置にグイグイと押し込んで固定する。
けれど再びズルリ。

の繰り返し。

おっちゃんよ、こんな山のドライバーを長年勤めているにも関わらず、この不毛とも言える行為を延々続ける気なのだろうか??
ついに僕は我慢できなくなって、そのカバーを手で押さえた。
僕みたいに我慢できず押さえに入った乗客はきっといたはず。

文章にすると面白みがないかもしれないが、当該者としてはこのおっちゃんの押し込み作業はなかなかに面白かった。
でもまぁ、テープでもいいから買って固定してくださいな。

そんなこんなで登山口のカシャパンパへ。
入り口は生活路?と思えるほどこじんまり。
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これ、いけるんじゃ?

そう思うも一先ず、脇にあった商店のベンチで軽食を摂りながら様子見。
入り口の近くには掘っ立て小屋があり、どうやらここでチケットチェックをしている模様。
もし断られても、しつこく食い下がろうと意を決し掘っ立て小屋へ行くと…

『60ソルだ』

へ?

『チケットは60ソルだ』

とあっさり入り口で購入できた。

おいおい、これまでの気苦労意味ないじゃん。。

とまぁ、ごく普通に購入できたわけだが(ガイドを付けろというのは現地にお金を落とすため?)
どこか心の隅っこで、もし駄目だったら宿に戻ってゴロゴロするかという邪念があったため
いざトレッキングが正式に可能になったのを目の前にした途端、
ザックに詰め込んだ4日分の食料と装備がぐいっと肩に食い込んだ。

そうは言ってももう後には引けないので、ザックからストックを取り出し、いざ。
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生活路に見えた登山口は、やはりそのまま生活路だった。
その道を5分ほど行くと、川にぶつかりその川を底辺として両サイドに背の高い谷がまみえた。
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が、このあたりいくつか橋やトレイルがありいまいちどれがメイントレイルか分からず…
適当な橋をわたる。
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が、これが間違いと気づくのはもうしばらく後だった。

大きな岩がゴロゴロ転がる川岸を歩く。
道があってるのか、いまいち確信が持てなかったが、踏み跡やロバの糞もあり、なにより川を遡っていくコースなので
まぁ大丈夫だろうと進む。
ところが10分ほど歩くうちに、道がとぎれとぎれになり、ときおり藪こぎ?のようなブッシュを進まないと前に行けなくなった。
果たしてこんなところを荷物持ちのロバが通れるのか?
はたまたポーター用の別ルートがあるのか??と思いながら前進は辞めず。
さらに20分程歩くと川の急な流れに完全に道を塞がれた格好となった。

これ間違えたな…

自分だけ道を間違えたのならいいのだが、よく見ると後ろから恐らく僕の姿を見て追いかけてきたであろう欧米人カップルもいたので少し気まずい。
とここでようやく地図を取り出し確認。
トレイルは川の向こうのちょっとした崖の上にあるようだった。
つまり一番初めの時点で間違えていたようで橋は渡らないでいいのであった。

ここまで約30分。

これを戻って、また川向こうの同じ位置に戻ってくるとなると一時間かかってしまう。

ちょっと乱暴だが少し戻ったところに川を渡れそうなポイントがあったので、そこを通って無理やり崖をよじ登ってトレイルに復帰することにした。

川沿いの崖は大きな岩が頼りなく積み重なって形成されていて、少し僕の足がかかっただけでゴロゴロと崩れ落ちてしまうものがほとんど。
一つ一つ岩の安定性を確認しつつ、ストックを斜面に突き刺しそれを頼りにおよそ4mほどの急斜面をよじ登った。

斜面の上には沢山の糞と踏跡。
ようやくトレイルに復帰できた。

しばらく行くと荷物を載せたロバとポーターとすれ違う。
そうだよな、あんな川底をロバが通れるわけないよなと、苦笑しつつ。
そこからは道はほぼ一本道。
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谷の奥深くに入り込むにつれ両サイドにそそり立つ垂壁は、増々高くなり、見上げると時折その威容に恐怖すら感じてしまうほど。
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3時間程歩くと本日のキャンプ地リャマコラルへ到着。
先発隊のツアー客がすでに到着していて、カラフルなテントがそれぞれ牧草地に設営されていた。
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時刻は4時前だったが背の高い山に太陽は遮られ、すでに長い影が谷に延び始めていた。
ダウンジャケットを羽織り、テントを設営していると、前室が大きく破れているのに気付いた。
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前回テントを張ったのは、トルヒーヨへ降りる山道の途中。
雨に降られた中で慌てて張ったためちょっと乱暴に扱っていた。
おそらくそのときに破れたか。

幸いにして致命傷にならない場所だったので、修理はリマに戻ってからするとしてとりあえずそのままに。

谷が風のとおり道になっていて相当に風が強かったので、テントが飛ばされないようしっかりテンションを張る。

その後暗くなる前に早めの夕食。
パスタにレトルトミートソースのシンプルパスタだったが、とびきり美味い。
やっぱりロケーションは最高のスパイスだな。
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午前2時ごろ、バタバタとテントを叩く風で目が覚め、トイレに行こうと外へ出た。

ジジジっとテントフライのジッパーを開けると、外には尿意も引っ込むような景色があった。

強い風に流された雲や山のシルエット、パンパの上の数張りのテント、それぞれが
闇の濃淡だけであるにも関わらず、その輪郭は力強くくっきりと。
それは空気の薄いここアンデスだからこそ見れる鮮明さのような。

しばし寒さも忘れて見とれていた。

1 件のコメント:

  1. 素晴らしい!羨ましい!
    道中ご無事を祈っております。

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