猛烈な下り坂を駆け、ラパス旧市街に降り立つとそこは何だかさみしげな雰囲気。
今日が日曜日だからか?通りの商店街は軒並みシャッターを下ろし、行き交う人もまばら。
活気がまるで感じられず不気味だった。
目星をつけていた安宿にも従業員がいない。
もとよりここは泥棒宿としても有名。
ワイナポトシ登山で数日自転車を預けることも考えると、ここでは少し心配。
メインストリートの一つイリャンプー通りに面したホテルを片っ端からあたって
どうにか信頼のおけそうな安宿を見つける。
荷物を預けた後、さっそく街に繰り出した。
目的は旅行者の間で絶大な支持を得る日本食レストランけんちゃんだ。
ここで先にラパスに到着していたサヌキくんとも合流。
3人で期待をして、ラパスのメインストリートを駆け下りる。
ところで、ラパスという街はすり鉢状の盆地に発達した都市で、前回も書いたが下層に行けばいくほど
富裕層のエリアになっていて、今の旧市街のセントロもまだ下りの途中。
メインストリートに沿って道は下って行き左右に曲がった途端にきつい傾斜の登り坂という面白い作りである。
けんちゃんに向かったはいいが、帰り面倒くさいなぁ。。。
と思いつつも到着。
うおぉと店構えからしてテンションがあがる。
店内も広々。
奥に行くとなんと座敷があった。
ここは迷わず座敷席をチョイス。
さらにマンガ有り、Wi-Fi有りと至れりつくせりの設備。
手渡されたメニューを見てさらにボルテージは上がる。
トンカツに生姜焼き、スタミナラーメンに冷やし中華、カツ丼…
一体どれを頼んだらいいんだ?!
これはいっそのことまとめて全部…
いやいや落ち着け。
僕はコスタリカ首都サン・ホセにある日本料理店でもはやる気持ちを抑えきれず食べたいものを頼みすぎて
食いきれなくなった経験があった。
落ち着け、ラパスにはしばらく滞在するから、また来れる。
そう自分に言い聞かせる。
同じ轍は二度は踏まないようにと、深呼吸をし改めてメニューを眺めた。
大げさなようだがそれだけ、心を惑わす誘惑がそこには確かにあった。
そして、選んだ答えはチチカカ湖で採れたトゥルーチャを使ったトゥルーチャちらし。
ここの看板メニューの一つだ。
それでも約700円と日本じゃ考えられない値段。
サヌキくんはぺぺレイ蒲焼き、モトミくんはカツ丼とそれぞれ思い思いの品を頼む。
料理が出てくるまでの間、ネットやマンガでそれぞれ時間を過ごす。
ふと入り口に情報ノートがぶら下がってるのを見つけた。
ノートを開くと、1ページ目にはここのオーナーである鈴木さんのメッセージがあった。
ノートには“ここで日本食を食べてホッとしてまた元気に旅を続けてください”と書いてあった。
海外の日本人の経営する日本食レストランというのはどちらかというと、味はいいが価格もそこそこ。
現地の駐在員向けというところが多い。
僕ら長期旅行者はその店に行って料理を堪能はするもののどちらかと言うと少し肩身の狭い思いをすることも確か。
ここ、けんちゃんのオーナーからのメッセージからはオーナーの人柄が見えるだけじゃなく
ここが旅行者に絶大に支持される理由のようなものが見えた気がする。
しばらくすると料理とのご対面。
まず先にサヌキくんの蒲焼きから、次いでモトミくんのカツ丼も。
二人がうめーうめーと言いながら食べるのを少し羨んだが、自分の料理がくればそんな気持ちはどこへやら。
トゥルーチャしらしのおなーりーである。
なんちゅうボリューム。
いったいどれから手を付ければいいんだ。
と同時に他の注文しないでよかったとも思う。
これだけでお腹一杯だわ。
まずは周りの小鉢から攻め立て、そして本丸のチラシ丼に攻め入った。
しょうゆを全体に垂らし、箸でわさびを少しすくう。
そしてトゥルーチャと酢飯をまとめて口の中に運び入れると
最初にわさびの辛さがツーンと走り、そして醤油の香りのするトゥルーチャの身が口のなかで溶けた。
うまぁー。
美味い以外の言葉が見当たらなかかった。
二人も未だウマイウマイ言いながら食べている。
南米一の称号は確かかも。
気がつくと、もうあと数口というところまでなくなっていた。
夢のひとときが終わってしまうという断腸の思いで完食。
でも大丈夫、明日も食べれるし!
食べ終わったお皿を下げに来た従業員が言った。
“明日は定休日です”
ちーん。
でもまぁ、街に魅力を感じないラパスだけどここだけは夢の国だ。
また明後日、ちらしを食べにこよう。
いやしかし、ラーメンもトンカツも捨てがたいなぁ。
心はすでに明後日の注文に向かっていた。
南米一の日本食レストランここに有り!
0 件のコメント:
コメントを投稿