2013年2月27日水曜日

自転車に乗らない自転車乗り その②

まじで、
ホントに、
本当に、
本っ……トーに、
タイミングが悪い!!

定期船のマシントラブルにより、チロエ島中部カストロからプエルトモンへとバスで戻った僕。

手元に持っていたフェリー会社のパンフレットによると、ここプエルトモンからも
対岸のチャイテンへと出る定期船が翌日の水曜に出るという事だったので、
この日は前回泊まっていた宿に投宿した。
念のためネットでフェリー会社のHPにアクセスし、最新の運行状況をチェックしておいた。
パンフレットもHPでも翌日の夜11:00に出向することを確認。

翌日の朝、フェリーターミナルに行き船のチケットを購入。
職員と一緒に発券されたチケットを確認。
ふむふむ、今日の11:00の便ですね。

職員はチケットに刻印されたSALIDA(出港):23:00のチケットの欄外に手書きで
“11:00”と手書きで書き足した。
遅れないようにね、との念押しだろう。
大丈夫、大丈夫、遅れませんって。

ところが、職員は続けて“AM”と書き足した。
AM?PMの間違いだろうと思って“Navio,salir esta noche?(船は今晩出港ですか)と尋ねると、
彼の返事をうまく聞き取ることはできなかったがSiの言葉は聞き取れた。
そしてAMのところをさらに上からペンでなぞった。

“A”と“P”って形が崩れると、似たような見え方をするから、
僕はこれをPに書きなおしたものだと思った。

“思った”なんて書き方をしたので、もうすでにこれを読んでる人の多くが予想つくかと思うのだが
果たして船は午前中に出港したのであった。。。

話のオチが出てしまっているのだが、これに気づくのは半日後。

チケットを買って宿に戻った僕は宿に戻って、
宿の主人に無理言って夜の10時までロビーに滞在させてもらった。
その間は、ブログを書き溜めたり、ネットをしたりして過ごした。

出港時刻が近づいたので、主人に礼をいってフェリーターミナルへ向かう。
ただでさえ、活気に欠けるこの街は、雨の夜となるとさながらゴーストタウンのようだ。
フェリーターミナルなんか、明かりがほとんど点いていない。

…って人すらいない!

チャイテンへ向かう週数本の船なので、乗客が僕だけってことはないだろう。
でも、薄明かりのフェリーターミナルに人気はほとんどなかった。
唯一、売店の人間が閉店作業をしているところだった。

僕に気づいた売店の人が怪訝そうに僕を見る。

『こんばんは、船はここで待てばいいのですか?』

「船?いったいいつの?」

『えっ、今晩11:00の便ですが…』

それを聞いて店主は、そんな船ないぞ!と言うではないか。
そんなことない、パンフにもネットでも、チケットにだって今晩11:00と書いてあるよ。
そう言ってチケットを見せると、彼はそのチケットを持って
どこかに問い合わせに言ってくれた。
数分後、戻ってきた彼は首を横に振る。

「今日の船はない」

マジデスカ…。

いったいどんな理由で、夜の便がないのか分からないが、
とにかく今日の船は午前11:00に出港したとのこと。
そう、チケットを買いに行った時の職員はAMを書きなおしたのではなく、AMを強調していたのだ。

パンフもHPもチケットの刻印も今日の夜ってなってたのに、
なぜその手描きの文字が一番効力あるのだろうか。。。

そうして、店主が言うには
「明日の夜8時の便なら」
あるそうである。

この便はHPにもパンフにも載っていない便だった。
いったい、この会社の運行スケジュールどうなってんだ?謎すぎる…
そもそも本当にそんな便があるのかさえ、今の状況では半身半疑だ。
少なくともわかっていることは、今日は船がないということ。

売店の店主に抗議したところで何にもならないし、失望感にまみれる僕。
そんな僕に同情したのだろうか、店主が
「ここに泊まっていいよ、トイレもあるし、ネットもうちのを使っていいよ」
と言ってくれた。

今更宿に戻っても出費が増えるだけなので、ここは有難く彼の好意に甘えることにした。

店の人も帰ってしまい一人ぽつんと過ごすフェリーターミナル。
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幸いにもこのターミナルの椅子は、恐らく廃車になったバスの座席を再利用しているので
シートを倒すことが出来た。
2列シートを向きあわせて並べると、そこら辺の安宿よりよっぽど快適なベッドが完成した。
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いやはや、すみません、そしてありがとうございます。

一晩をここでやり過ごし、朝方7時ぐらいにトイレに目が覚めた。
トイレに行く途中のイスに二人組みが座っていた。
あれ、この人達も、ここで一晩明かしたのかな?気づかなかったな…。
と思ったら何やら見たことのある人影…

『リンさん!ススムさん!!』

またもやあの二人だった。

聞くところによると、彼女たちはここで野宿したわけではなく、
船チケットを買いに来たら、早く着すぎてここでオフィスの営業を待っているところだった。

それにしても、これで何日連続?の再会だろう。
アンクーでも鍋の時以外は待ち合わせの連絡もしていないから、面白い縁だ。
結局、僕らは一緒の船でカレテラアウストラルに向かうことになりそう。

今回は道が途切れるルートの関係上、船を利用するのは止むを得ないのだが
またしても自転車を持って、交通機関を利用している姿を見せることになりそう。
自転車乗りの威厳が、まるでないじゃないか 笑

開店と同時に、僕はチケットの変更を、彼女たちはチケットの購入をした。
今回は念入りに今晩!?20:00??PM???としつこいぐらいに確認をしたので問題ないはず。

夕方なって今度こそ、船は8:00に出港し、ようやく胸をなでおろす。
船にのるってこんなに大変だったっけ?
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やっとチャイテンに渡ることが出来る。ターミナル滞在、実に20時間。

カレテラアウストラル行きを祝し、船上で、AUSTRALの銘柄のビールを飲み回した。
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日がながいこの時期、8:00といえどもまだまだ明るい。
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ねぇ、あれって…

ススムさんが指差しした方向に目をやると、チリ富士とも言われるオソルノ山が見えた。
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チリ中部の湖沼地帯にあってシンボル的な存在の一つであるオソルノ山。
振り続ける雨に、近くを通ったときはまったく見えなかったが、最後の最後にようやく見れた。
10分もしないうちに山は再び迫り来る暗雲の中へと隠れてしまったが、
やっと気持ちが晴れる景色に出会えた。
そして隣には付き合いの長い、旅の友。

うーむ、なんだかんだなるようになってるな。

いざカレテラアウストラル!!
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