2013年2月3日日曜日

手に入れた感覚

イースター島へのフライトの日がやってきた。
チリ領に属するイースター島だが、なぜかペルーのリマから飛ぶほうが安い。
それは、リマにいるときから聞いていたことだったが、半信半疑だった。
いざチケットを手配するようになって、その値段の差に驚いた。
なんとサンチアゴ直行の半値に近い。
とゆうわけで、少し遠回りになるがリマを経由してのイースター島行きを手配した。

リマ行きの便は夕方の5時半。
日中は時間があるので、セントロにある中央市場に前日サンチアゴ入りしたサヌキくんと昼食を食べにいった。
地下鉄を乗り継いで到着したこの市場に入った途端、四方から“ウニウニ、アワビアワビ”と声が掛かる。
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大勢の日本人が訪れているのだろう。やはり海鮮は日本人のソウルフードだ。
魚介が並ぶ屋台市場を通りぬけレストランゾーンへ。

やはりチリのメルカド、レストランもメルカドレベルじゃない程きれい。
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適当なお店に入って注文。
僕はカニグラタン、サヌキくんはイカの鍋物を注文した。
けっこう時間がかかるかなと思ったらあっという間に出てきた。
こういうところはメルカドっぽいな。

それでこのカニグラタン。

大当たりだった。
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濃厚なチーズソースにたっぷりと漬かった蟹の身。
グラタンと言っていたのでペンネあたりのパスタでも入っているのかと思ったらすべて蟹だった。
なんという贅沢。
5年分くらいのカニは食べたのではないか。
ちなみのサヌキくんのイカも食べさせてもらった。
まぁうまいことはうまいが、どう考えても僕のカニの勝ちだった。

その後宿に戻ってバックパックを背負って出発準備。
実は、ここでサヌキくんとこの旅ではお別れになる。

彼はこのまま東進し、ブエノスアイレスで南米の旅を終える。
その後、スペインに飛びモロッコまで走って帰国する予定だ。

もともとブエノスから帰国のはずだったが、ビーニャで会った時に
たまたま思いつきでスペインやモロッコ経由での帰国チケットを調べてあげたら思いのほか安かった。
サヌキくんはモロッコには昔から行ってみたかったそうで、一気にそれがはじけてスペイン行きを決めたのである。

こうして見ると、旅の行方というのは実に流動的で決まらないときは決まらないし、決まるときはあっという間だと感じる。
僕自身、今のところモロッコに行く予定はないが、それが果たして本当にどうなるかは、やはり風の行方次第だろう。
モロッコの情報を充実した表情で調べる彼を見て、僕自身も気持ちが満たされていくのを感じた。

宿の入口まで見送りにきてくれた彼と最後の挨拶。
特に感傷的にもならないし、いつも通り、この中南米で過ごした10ヶ月、十数回繰り返したであろういつもと同じテンションだ。
たぶん、それは自転車で走ることでアメリカ大陸のみならず地球というフィールドを
箱庭的な感覚で捉えることが出来はじめているからだろうと思う。
仮に僕がモロッコに行く事になったとしても、もうその頃は時期も違うし、彼は日本に帰っている頃だろうと思うけれど
この場において、こんなに静かな気持ちでお別れを出来るのも
心のどこかに“走っていればきっとどこかでまた会えるさ”といった感覚があるかだ思う。

さらば、志を共にした友よ。
またどこかで、どこかの国のクソッタレな奴らのクソッタレな話を肴に朝まで語り合おう。
ワイナポトシで命を救った友人より 笑




サヌキくんと別れた後、バスで一路空港へ。
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いよいよ1年半振りの飛行機だ。
自転車で走ってると、飛行機やバスなどの交通機関を使わないので、チェックインに戸惑うもなんとかクリア。
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夕方5時半に飛行機は乗り換え地のリマに向けて飛び立った。
途中、これまで越えてきたアンデスを見下ろせるかなと思ったけど残念ながら3人席の真ん中でほとんど見えなかった。
狭いながらも空調の効いた快適な空間に、気がつくと僕はまどろみの中へ吸い込まれていった。

座席の位置を戻すよう促す機内アナウンスに気がついて目を覚ますと窓の外は闇夜が訪れていた。
もうすぐリマだ。
飛行機は僅か4時間で僕の4ヶ月の旅路を巻き戻した。
程なく機体は高度を下げて着陸態勢に。

窓にはリマのネオンが爛々として移っていた。
高度を下げるにつれそのオレンジは、立体的に見え方を変えていった。
リマは約2週間過ごした勝手知ったる街。
外のネオンに視線を落としながら、“空港があそこだからあの辺がラマリーナ通りかな”とか“明かりが強いところはミラフローレスの新市街かな”と懐かしい単語が次々に蘇ってくる。
4ヶ月前の記憶を掘り起こしつつ、乗り換えまでの空き時間にロモ・サルタードを食べに行こうかなとか
リマ滞在中行けなかった光の公園に行ってみようかなとかいろいろな夢想が広がってきた。

これも“箱庭的感覚”だと思う。

訪れた土地に対して、様々な連想夢想が広がっていく感覚。
たぶんこの感覚は誰もが経験したことがあると思う。
それを地球規模で感じることが出来る。

やっぱり旅は、自転車はとても贅沢な乗り物だなと思った。

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