2013年2月7日木曜日

空と海の孤島

『南米』と聞いてみんなが思い浮かぶキーワードはどこだろう。
天空の遺跡マチュピチュやイグアスの滝、ナスカの地上絵、ガラパゴス…
間違ってもペルー山間にあるネグロマヨの集落とか、キトの新市街にある餃子屋!なんてのを連想する人は
どう考えたっていない。(いるわけないか。。。)
たぶん、ほとんど多くの人が上に出た単語を浮かべるだろう。

イースター島もその一つだと思う。

イースター島といえばモアイ。モアイといえばイースター島。
これはおでんにはカラシ、焼き鳥にはビールぐらい切っても切り離せない関係にあると思う。

で、そのイースター島だが、僕の感想から言うと
イースター島はモアイにあらず!だ。

これは人によって感覚が違うので意見はそれぞれだが、 少なくとも僕はそう思った。
というのも、島唯一の村には至る所でお土産からモニュメントまでモアイのモチーフが溢れていて
はっきりいって本場に来たのに本物の有り難みがまるで感じられない。

村の反対側にある12体のモアイが並ぶ有名なトンガリキももともと倒されていたものを、わざわざ立て直したというし
すごく演出されている感が強い。
だいたいみんなが右向け右と言われた時に左を向くような僕の性格上、
定番中の定番スポットにバックパックで向かったのだから、心の底から楽しめるわけがないのだと、島に着いてから気付いた。
加えて、予定のフライトまで島を出れないという精神的にも立地的にも感じる閉塞感。
なんとかこれを打破すべく、レンタカーではなくレンタサイクルで島内を回った。

いつもとやってること変わらないじゃんという突っ込みはさておき、
地図を片手にいつもと違う自転車に跨ると不思議と新鮮だった。

空荷だから一漕ぎ一漕ぎで進みの伸びが違うし、段差や岩のある悪路にも躊躇なく突っ込めた。

そうやって島内に点在するモアイを回っていたのだが、それはどこかスタンプラリーのようでどこか味気ない。
そんなモアイよりも僕が心惹かれたのは海の色だった。

モアイとモアイを結ぶ道中にある何でもない海岸。
そこにある海に僕はしばし心奪われた。
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ちょうど曇り空が晴れて、13時過ぎという時間もあって太陽光線が目一杯海に差し込んだ。
まるでそれは海自身が喜びをもって輝いているようだった。
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浅瀬に向かうにつれ、青にグラデーションがかかり浜の近くで滑らかな乳白色へと色を変えていった。
それらは絶え間ない波のなかで止むことなく変化し続け、波は岩にぶつかり弾けた。
弾けて出来た細やかな水泡が再び水面に溶け落ち、やがてすぐに新たなグラデーションの波がやってきた。
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一連のサイクルに僕はただ口を開けて呆けて見るしか出来なかった。
イースター島の海がこんなにも綺麗だとは、全く知らなかった。
もっとも“綺麗”というのは色んな解釈があるようで、こんな風に透明度が高いということは
海中にプランクトンが少ない事を意味し、そうするとそれらを餌にしている魚たちが少ないということになるそうなのだ。
だからダイビングで潜ると海の透明度は楽しめても、魚群なんかは見れる確率が下がるのだそう。
そんなことを宿で一緒になった人が教えてくれた。

それでも、この感動の価値が下がるわけでもなし。

イースターは周囲数100kmに何もない絶海の孤島。
だから、雲もよく流れるし一日に何回も天気が変わった。
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自転車で島の反対側に出ると、再び崖で自転車が止まる。
既に夕暮れも迫り、色鮮やかな海の色彩は影を潜めていたが
岩礁にぶつかり果てる波の短い一生をひたすら眺めた。
一つ目の波が散り、あぁと感傷に浸る間もなく続けて2波目がやってくる。
果てなく続くサイクル。
意味があってもなくてもひたすらこのサイクルは続く。
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これほど海に夢中になったことがあっただろうか?
全く記憶がない。
小学生の頃は毎年新潟の海にキャンプに行っていたり、海と無縁の人生だったわけでもない。
ただどういうわけかそれほど惹かれる場所でもなかった。

ここが絶海の孤島だからだろうか。
一日の中でも絶えず移ろいゆく海の表情に、初めて海という存在を意識した気がする。
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とここまでひたすらこの島のロケーションについて、語ってきたわけだがやはりイースター島と言えばモアイかもしれない。
村の近くにあるモアイ像は毎日夕日を見に行った。
一番近いモアイで、ここから綺麗に夕日を望むモアイが見れるので、夕暮れ時は沢山のツーリストで溢れていた。
そこに混じって僕もサンセットを眺める。
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途方も無い悠久の時をこの地で過ごすモアイの気持ちは全く分かってこないが、
こうして日暮れの心配もせず、今日の寝床の心配もせずただ夕日を眺めることに没頭できる時間はいつ以来だったか。
あと数日後にはまた太陽と追いかけっこの日々が始まる。
ここで眺める夕日はさぞ、贅沢な時間に思えた。

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2 件のコメント:

  1. 奈良に住んでいる石屋の職人です 以前も一度コメントを入れました
    美しい空と海 その境に雲がなかったらどんなだろうと思う 発色がきれいなのは空気が澄みチリがないからでしょう 南米で写した私の写真も同じ現実ばなれしたカラーでした 浮世絵にみれる藍と同じ色です  モアイには興味はないですがカメラに収まっている景色は癒されます この時期天の川はみれますか? もう日本では中国大陸からの大気汚染の影響が甚だしくこのさき永遠にみられない空と海と星空ですかから堪能して下さい 私も機会があればもう一度行こうと思ってます 君のブログは毎日チェックをいれてます 応援してます!!

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    1. 度々のコメントありがとうございます!
      そして毎日ご覧頂き大変感謝です。

      この島は本当にロケーションありきの島ですね。できることならば自分の自転車で好きな場所でキャンプしてみたかったです。
      夜は雲が出てしまって中々、星は見れませんでした。

      もう南米も終盤なので、この景観を大切にしていきたいです。

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