2013年4月22日月曜日

フエゴ島の秘密の園

チリ側フエゴ島の国境近く。
ただでさえ、交通機関が限られたこのエリアの幹線から外れること約15㎞に秘密の花園がある。
知る人ぞ知るペンギンの園。
原生のペンギン種ではコウテイペンギンに次いで、体長の大きなキングペンギンのコロニーがそこにあった。
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コロニーといっても何千というマゼランペンギンが生息するプンタアレナス近くのマガジャネス島に比べれば、こちらのコロニーはせいぜい50~60匹程度。
それでもこの地域では希少な(もともとこの地域には生息しないとされる)キングペンギンを間近で見られるこのコロニーは、自転車でここまで走ってきたご褒美の一つといってもいい。
短い足をヨタヨタとさせ歩く姿は、そんじょそこらのマスコットとは比べ物にならないほど可愛い。

ちなみにキングペンギンとは、もともと19世紀まで世界最大種ということでこの名前がつけられたが
その後、南極でさらに大きなペンギンが見つかったことからそっちはコウテイペンギンと名付けられたとか。
もし、さらに大きな種が見つかったらいったいどうするつもりなのだろうと、勝手に心配してしまいそうな程
安直なネーミングである。といっても個人的には嫌いではないけれど。

と書いていて調べたら、一応絶滅種でさらに大きなジャイアントペンギンというのがいるらしい。
ますます安直になってるような…
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常に集団行動の彼ら、顔の向く方向まで一緒なのが可笑しい。
のんきな見た目とは裏腹に、割と臆病で僕が興奮のあまり近づきすぎてしまうと
手足をバタつかせて逃げる。
集団で慌てて逃げるもんだから、一匹がドテッとコケる。
そうするとドミノのように近くの数匹も巻き添えでコケる。
驚かせてしまってペンギンたちには申し訳ないのだが、その姿がまたこの上なく可愛い。
正直、ペンギンにここまで興奮するとは自分でも思っても見なかった。

起き上がったペンギンたちは大集団に戻ろうと再び出すのだが、これまたそれぞれで勝手に歩き出すので手足がぶつかってしまう。
案外長い手を左右に振ると、近くの仲間のペンギンにぶつかる。
ぶつかったペンギンもお構いなしに集団に戻ろうと手を振って歩く。
それがまた別なペンギンの頭を叩く。
『ナニスンネン、ナンヤネン、オマエコソナンヤネン!!』
そんな声すら聞こえてきそうな、コテコテのコントのよう。
まったく統率があるんだか、ないんだか…。
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草むらの方にいくともう一つの集団がいた。
よく見ると卵を温めている。
さすがにこちらは驚かせては、まずいのでそっと近寄って見学した。
卵の上に、親鳥の腹回りの脂肪をかぶせて温めていた。
そして周りを他のペンギンたちが囲っている。

カラファテで旅行者から聞いた話によると、この周りにいるペンギンたちも風除けとして立っているそうだ。
そしてずっと外はさすがのペンギンたちも寒いので、上手くローテーションして外に立つペンギンを交代しているとか。
やっぱり統率力あるのか…?

平和の象徴は鳩だと言われるが、個人的にはペンギンを推奨したい。
ぷくっとしたフォルムに、つぶらな瞳。
それでいてしゅっとしたクチバシ。
これに例のヨタヨタした動きと、ナンデヤネンのツッコミが入るのだから
愛さずにはいられない存在だ。
こいつを見て、心が和まない人なんていないのではないかと本気で思ってしまう。

思った以上に大満足のキングペンギン。
ここにはアラレも千兵衛もましてやスッパマンもいなかったけれど、まぎれもなくペンギン村でした。
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3 件のコメント:

  1. ステキなキングペンギンの写真ありがとうございます!明日ウシュアイアに入ります。
    目的はずばりキングペンギンに会うことです☆
    場所はやはり内緒なのでしょうか…。
    なんとかして行ける場所なら頑張って行きたいと思っております!!詳しい情報いただけませんでしょうか。。。

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    1. 匿名さん
      コメントありがとうございます。
      分かる範囲でお答えしますね。
      場所はチリ側フエゴ島の港町ポルベニールから約90km(アルゼンチン国境40km手前)の交差点を南(オナイシン方面)に約15km行ったあたりです。
      この辺までくると真新しい柵と巨大なテントが右手に見えるので、行けば分かると思います。
      ゲートがあって、入場料12000チリペソ、月曜定休で11:00~18:00と書いてあったと思います。
      自転車以外の行き方だと、プンタアレナスからのツアーか、季節労働者用のバスがポルベニールから出ているのでそれで行けるそうです。ただどちらも聞いた話なのと、季節外れなので今も運行しているかは不明です。(今年バックパッカーで見に行った女の子がいたそうで詳しい情報を上野山荘の情報ノートに記してありました)
      ペンギン見れるといいですね。まだパタゴニアが残っているというのがとても羨ましいです。
      是非楽しんでください。

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    2. ご丁寧に返事をいただきありがとうございます。
      ウシュアイアには(飛行機の関係で)2日半の滞在となってしまいましたが楽しみました。
      上記にある上野山荘の書き込みも見ました。しかし予定上アレナスには行けず、もちろんウシュアイアのペンギンももうおらずで今回は断念でした。。。
      また南極に行くためにこの地に戻ってこようと思います。

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