前回のブログでコトパクシ山のアプローチにはキトが便利だと書いたがそれには理由がある。
コトパクシ山のような5000mを越える高山はもちろん雪山対策や己の体力も重要だが
それ以上に高山病対策が必要だ。
高山病は体力のある、なしに関わらず人によって耐性が違うが
高地にある程度滞在することで順応させることが出来る。
キトの標高は2800m。
ここだけでも十分な高地だが、それでもコトパクシ登頂となると3000m以上の標高差となる。
都合がいいことにキトのすぐ裏には標高4700m近いピチンチャ山があるので
2800mのキト→4700mピチンチャ→4800mのコトパクシの山小屋と段階を踏めば
比較的順化を促しやすくできる。
しかも、ピチンチャ山の3900m地点までは麓のロープウェイで簡単に行くことが出来る。
こんなうまい話はないので、高度順化のためコトパクシ登山2日前にピチンチャ山へ。
といっても僕は特に登頂する気もなく4000m~4300mくらいのとこで半日過ごせばいいかなぁと
防寒具と雨具は持ったが、飲み物と食料はほぼ持たずに出かけた。
タクシーでロープウェイ乗り場へ。
入り口にはさみしげな遊園地が。
遊園地の奥にロープウェイのテレフェリコがある。
teleferiQoの名称通りQuitoだからQがついた名前だと思うが、キトはそのQにけっこうこだわりがあるらしい。
街中の至る所で青文字の円(O)にQの並線部が赤字で書かれたロゴはよく見かけるし
先日カメラをかったショッピングモールもQuicentroだ。
ケーブルカーの券売所にはこんあポスターも。
キトのアンデスということでキンデス。
キトのQに対する並々ならぬこだわりを感じずにはいられない。
さて、8$で往復チケットを購入して乗車。
ぎゅいーんと上がって10分後には4000m世界。
実は僕の最高標高は登山も含めてこれまでマレーシアのキナバル山で4100mないくらい。
それに近い標高まであっさり上ってくるんだから、ちょっとアンデス懐が深すぎやしないかい。
とゆうか、こんなんでいきなり6000m級の山に挑戦するのも無謀かもしれないな。
まぁ、とにかくこの辺ウロウロして高度順化だ。
ちょっとトレイルがあるから歩いてみよう。
テクテク。
テクテク…
ちょっと休憩。
テクテク…
ありゃりゃ、ひらけた尾根道歩きが楽しくて気付いたらけっこうきちゃった。
もう前方にピチンチャの頂きが見えてるし…
なんか体がのってきちゃったぞ。
でももう午後過ぎてるし、天気も悪そうだしどうしようかな…
と思ってると前方から警察官の登山グループが。
トレーニングかハイキングか分からないが、聞くと彼らはピチンチャ登頂してきたそうだ。
彼らが言うにはあと1時間で着くというので、この際だから上ることにした。
飲み物があと一口分しかないけど、気温も低いし大丈夫でしょう。
しかしトータルで50人以上の警察官グループとその都度挨拶してすれ違ったのだが
みんなユニフォームなのか上下黒のフリースに頭はバラクラバ。
POLICIAのワッペンが貼ってあるからいいものの、一見すれば囚人服風。
僕も最初は服役者の更生トレーニングかと思ったし。
しばらく行くと岩稜地帯に。
この辺りは足場も不安定なところが出てくるので踏み外さないよう慎重に歩く。
ちょっと小雨がぱらついてきたけど雨具を来て前進。
最後の頂上の岩場への取り付きは細かい砂礫地帯で足が埋まるは、ズルズル滑るはで案外大変だった。
あとちょっと。ラストスパート。
最後の方は、もうどこがトレイルか分からず、面倒だったのもあって岩を直登して登頂。
予定外の4696m。
前哨戦の時点で自己記録更新。
特に高山病の症状もなく、このくらいなら順応できることを確認して下山。
と、その前に…
山頂にはだれもいないな…
としたら…
やっちゃうか!
おもむろにバババッと服を脱ぎ全裸で記念撮影。
昔読んだ野口建の本で彼の相方が登頂した瞬間に
極度の精神状態で山頂で裸になって飛び降りてしまったという記述があったが
決して高山病の症状ではないです。
男にはこんなことをしたくなるときがあるのだ。
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とこんなアホをやってるうちに天気がさらに崩れてきて雹が降って来たのでそそくさと下山。
往路同様、道が分からなかったので無理やり降りる。
こんな時は四肢を使って岩を降りてていくのでさすがに生身の手では寒かった。
手袋ぐらいもってくればよかったなぁ。
下山途中にトーマスというドイツ人と会って一緒に下山することに。
この辺になると雹はまた雨に変わってきたので足を滑らさないよう慎重に下る。
ロープウェイ近くまで戻ってくると天気は持ち直してきた。
途中でトーマスの彼女も合流して一緒にロープウェイで麓まで。
ちなみに彼女、オタバロのバスでバックパックまるごと盗まれたらしい。
それでもそんなこと気にせず旅を楽しんでる様子だったので、たくましいなと思った。
と同時に盗難や交通事故を含め自分の身の安全をバスに全て委ねてしまうバス旅は
やっぱり自分には向かなそうだなとも思った。
麓で彼らと別れて、バスとタクシーで新市街に戻る。
コトパクシ山への高度順化はこれにて完了。
果たして本番、高山病になりませんように!
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