2012年5月4日金曜日

犬と山とWi-Fiと

僕は正直言って犬があまり好きではない。
いやむしろ苦手な部類に入る。

なんで犬が苦手になったのか古い記憶を探ってみると
多分それは小学生の頃だったと思う。

当時、世間に衝撃を与えたゲームのバイオハザード。
冒頭のムービーでゾンビが仲間を食べていて、こちらに気付いて振り向くシーンは
今でも背筋が凍る恐怖の場面だが
僕にはそれ以上に怖いシーンがあった。

古い洋館の長い渡り廊下。
幸いにしてここにはゾンビがいない。
ホッと胸を撫で下ろして次の部屋に向かおうとした時
突然、窓ガラスを破って襲撃してくるゾンビ化した番犬たち。

あの場面の恐怖は大人になった今も強烈に頭に焼き付いており
今も犬への恐怖が拭い切れないでいる。

なぜ、こんなことを書いたかというと…

アンデス、襲ってくる犬多すぎ。
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麓の街、レモリーノを出ると一旦下って標高500mから上りのスタートである。
90km先のパストまでは500→1500→800→2800と進んで2500のパストに至る。
コロンビアでも最大の難所となる場所である。
加えてこの区間は強盗やゲリラが非常に多く出るそうで、特に週末の走行は極めて危険だそうだ。

少しでも時間を稼ぐため早朝7:00に走行開始。
まだ標高が低いにも関わらず湿気で明け方はあたりがガスっていた。
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ぐんぐん標高をあげていく。
驚くことに、カーブを曲がるたびに気象が変わる。
晴れていたのがカーブの先は霧地獄だったり。
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開始2時間もすると、だいぶ上ってきたようで緑豊かなアンデスの山々を見下ろす事ができた。
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もう既に600mほど上ったが不思議と疲れはない。
今日は2000mは上るという覚悟が出来ていることに加え、だいぶ山の登り方が体に染み付いてきたらしい。
以前の自分はというと、坂道で時速6kmくらいしか出ていないと普段の平地のスピード感とのギャップに
いらだち、無理にペダルを回そうとしてバテたりしていた。
それが今は、時速6kmも出ない時でも焦りが全くない。
焦らず自分のペースでペダルを漕ぐ。
加えて、なるべく上半身も使ってリズムよく。
そうすると全く疲れを感じることなく上ることが出来るのだ。
アンデスを前にして、今まで走ってきた道が無駄じゃなかったようだ。

ところが…

ここで出てくるのが冒頭の犬である。
15kmくらい走ると小さな集落がポツポツと現れた。
そこでどこの家でも飼われているのが犬だった。
こいつらが僕のペースを乱す。

バイオハザードのケルベロスが如く、猛然と僕に襲いかかってくる。
このままでは喉元をかっ喰わられる!!というのは大げさな話だが
つい先日、仲間が二人、別々の場所だが同じタイミングで
一人は膝を、もう一人はバッグを犬に喰い裂かれていた。

こんな話もあった直後なのでより犬への恐怖心が増す。

とはいえ上り坂。
スピードで逃げ切れないとなると断然分が悪い。

そして奴らは大抵2匹。

犬を牽制しつつ、坂道を登り、加えて車にも気をつけないとならないとなると
これがまた大変なのだ。
左手にはもしものための、ペッパースプレーを握りしめつつ。

このおかげでせっかく開眼した坂道の悟りも、心が乱れてしまい
あっとう間にバテバテ。

ようやく心が落ち着きだした頃に限ってまた奴らが現れる。

勘弁して欲しい。

そうこうしてるうちに一つ目の山のてっぺん付近に出た。
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相変わらず景色はすごい。
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展望台が土砂崩れで落ちていた。
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この辺は岩盤を削って作った道路も多く、とてつもない絶壁の脇を道路が走る。
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とここでも前方に犬。
彼らを刺激しないようになるべく遠く反対側の岩壁側を走っていると、後方20mで壁がが崩落し落石していた…

お前は気楽でいいねぇ。
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さて、ここから下ります。
びゅーっと颯爽と下る。
下りは流石に犬も追いつけまい。

あそこから下ってきました。
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向こう岸に道があるの見えますか?あそこまで下ります。
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びゅーんっと。
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反対側まで来ました。
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まだまだ下って…
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ここが谷の底。
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谷底の商店で飲み物を購入し、ラーメン休憩をした後再び登り開始。

ここから一気に2000mアップだ。
えっちらおっちら上る。

この辺りは犬はおろか民家も全くない地域だったので心穏やかに上ることが出来た。
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それにしても僕のアンデスのイメージといえば
草木もまばらな荒涼とした景色に鈍色の空とアンデスコンドルというイメージだったのに
実際は水が豊富であちこちから滝が流れ、緑豊かな風景だった。
もっと標高が高くなったり、場所が変われば違うんだろうけど、そんな北アンデスを走ることが出来ることができ良かった。
やっぱり実際に行ってみるって大事だ。
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しかしよくまぁ、こんなとこ道路を通したなぁ。
対岸にまで道が伸びている。
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お世辞にも道路状態は良いとは言えないガタガタの道だったがここを走れるだけで感謝だ。
それに、
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こんな山を削って道を作ってくれてるんだから有難いことだ。
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標高1800mくらいまでくると、稜線に出たようで、今度は穏やかな景色になった。
が、それと同時に雲が出てきた。
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ちょっと危うそうだなーと思いながら走っていると案の定ポツポツと降り始めた。
走れないほどではなかったので、雨の中走っていたのだが、通り沿いのホテルの看板には
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止めーた!
雨の中、無理して走るより今日はここでゆっくりしようっと。
ただいい加減、Wi-Fiの文字に躍らされるのは良くない気もするな 笑
いや、このホテルが商売上手なだけだ、きっと。

本日は結局60km、2000mUPで終了。
お疲れ様でした。

2 件のコメント:

  1. いやあ、すごいですね、今アグアスにいますけど浅草に行こうか迷っています人見知りのわたしには辛そうな所です、ミクセスのタコスにしようかなあ、お体にお気お付け下さい。

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  2. 浅草はアグアスの一番の観光名所なのでぜひ是非!どれもおいしいですよ。

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