2011年10月30日日曜日

植民時代に思いを馳せて…

メキシコ以南のラテンアメリカは1492年にコロンブスがカリブ海・西インド諸島に到達して以降
スペイン・ポルトガルを始めとするヨーロッパ諸国によって300年に及ぶ植民統治された歴史を持つ。
それ以前には、メソアメリカ文明と呼ばれる高度な文明が各地に点在していたが
それらはヨーロッパ人の入植よってそれらは姿を消してしまう。
彼らはそこでキリスト教の布教やヨーローッパ風の街並みを次々と作り上げる。
コロニアル=“植民地の”と呼ばれるコロニアル都市の誕生である。

メキシコには現在27の世界遺産のが登録されているが大きく大局すれば
植民地以前のメソアメリカ文明の史跡と、このコロニアル都市に分けることができる。
世界遺産と聞くと美しさばかりがイメージとして先行してしまうが
ことコロニアル都市に関して言えば(先住民であるインディオの人たちにとっては特に)
負の一面も包有しているといってもいいだろう。

そんな前置きを持って訪れたコロニアル都市サカテカス。
厳粛な気持ちも忘れずにと思っていたのだが、この街の第一印象は
歴史の重みを考えるよりも先に、シンプルに“美しい”という感想が一番先に浮かんだ。

結局のところ、中途半端な知識しか持ち合わせのない僕に
先人たちの苦労を偲ぶというのは困難なことであったし、
ここはヨーロッパかと錯覚させるンガ作りの建築物と石畳に
メキシコ特有の乾いた青空と建物の淡い色彩が相まった街並みは
過去の歴史を感じさせない明るさが立ち込めていた。
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とりわけ良かったことは、メキシコ有数の観光地であるにも関わらず思ったほど街の演出がされておらず
ここに住まう人たちも他の街とそれほど変わらぬように見えたことだ。
少し歩けばローカルなマーケットもあり、街並みは違えどいつものメキシコがそこにあった。
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滞在先のホステルにはキッチンが付いていたので買える食材で冷やし中華。
もっとも中華麺が見つからず麺はパスタだったので冷製中華風パスタと呼ぶべきか。
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サカテカスはかつて銀鉱山で名を馳せた街であり、鉱山都市らしく辺りは鉱夫たちによって穴ぼこだらけされたであろう
山々に囲まれている。
街中も坂道や階段が至るところに点在し、2500m近い高所ということもあり少し歩くだけでも息が切れる。
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しかし、ブーファの丘と呼ばれる小高い丘から見下ろす街の全景は、美しいと感じたサカテカスの中でも特別な眺めだった。
写真の撮り手である僕の腕前が下手くそなせいで、街の魅力を中々伝えることができないのが残念ではあるが。
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丘の上は開けており、ここはメキシコ革命の際に政府軍と戦い勝利した場所だったとか。
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丘は対岸の山麓とロープウェイで結ばれており、帰路はロープウェイを利用して下山。
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ここに登ってくることで、少しずつ角度を変えて街を立体的に見てきたのだが
最後にロープウェイで街を平面的に俯瞰するのも発見があっておもしろい。
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街の西にあった水道橋。
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アーチに沿って住宅が建てられたのか、住宅に沿ってアーチをかけたのか真相は定かではないが
巨大な水道橋が風景に溶け込んでいる。
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だんだんと日が暮れていく。
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完全に日が暮れると、街灯や窓から電球の明かりがこぼれて
夜に馴染む柔らかい光が街全体を包み、なんとも言えない角のとれた気持ちにさせてくれた。
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